大手ゼネコンの鹿島は8月29日、AIを活用して建物のライフサイクル全体のCO2排出量を算定するシステム「Carbon Foot ScopeTM」(カーボンフットスコープ)を、データ分析システムを手掛けるゴーレムと共同開発したと発表した。新システムを活用、展開することで、顧客のCO2排出量の削減につなげる。

  • 「Carbon Foot Scope」の概要

    「Carbon Foot Scope」の概要

新システムの最大の特長は、建築部材だけでなく電気・衛生・空調・昇降といった各種設備機器のCO2排出量も正確に算定できる点だ。工事見積内訳書などの既存データを取り込むことで、建物を構成する建築部材や設備機器の一つひとつをAIが自動で分類し、所定のCO2排出原単位とひも付ける。

  • 「Carbon Foot Scope」を活用したCO2排出量の算定イメージ

    「Carbon Foot Scope」を活用したCO2排出量の算定イメージ

同システムを用いることで、建物を構成する建築部材や設備機器ごとのCO2排出量を把握できるため、より具体的なCO2排出量削減計画の検討が可能になる。

鹿島が同システムを同社の施工物件4件に適用したところ、専門知識を有する技術者と同水準の正確性をもって、建物のライフサイクル全体のCO2排出量を算定できたという。中規模物件(S造、地上13階建て)に適用した例では、算定に要する時間を従来の人手による算定に比べ約8割削減できた。

  • 建物のライフサイクルにおけるCO2排出プロセスの区分と範囲

    建物のライフサイクルにおけるCO2排出プロセスの区分と範囲

建築分野は全産業のCO2排出量の約3分の1を占めると言われている。鹿島は今後、「Carbon Foot Scope」を展開し、用途、構造、規模の異なるさまざまな建物に適用することで算定データを蓄積し、さらなる機能向上を図る。