IBMが、中国にある研究開発部門をすべて閉鎖することを決定した模様であると中国の有力経済メディアである第一財経が8月26日に報じたことに端を発し、多数の米国メディアもIBMの米国本社に事実を確認する形で続報を報じている。
IBM Chinaの研究開発部門には、ソフトウェアの用途開発を手掛ける部門と、データ関連のシステムの研究開発およびテストを担う2つの部門があり、閉鎖されると、これらの部門に所属する1600人超に影響が出るという。
IBMのグローバル・エンタープライズ・システム開発担当ヴァイスプレジデントであるジャック・ハーゲンロザー氏は、中国の研究開発機能をすべてインドのベンガルールを含む中国国外に移転させる計画をすでにIBM社内で全社員に向けて発表したとWall Street Journalは報じているほか、すでにIBM Chinaで解雇通知の伝達が進められているとする情報が中国にて報じられている模様である。
IBMは「需要に基づいて運営体制を調整している。今回の閉鎖が中国の顧客へのサービス提供能力に影響を与えることはない」と述べており、エンタープライズAIを中心に営業・サービス活動は継続する意向だが、米中対立に伴う中国市場での事業環境の悪化を背景に、中国事業を見直す米国企業が相次いでおり、事業縮小せざるを得ない状況のようである。
第一財経によると、IBMは1934年に北京の協和病院に設備を納入したことを手始めに、1984年に中国市場に本格参入。1995年にR&D部門を設置し、中国の企業や政府機関などにサービスを提供してきたという。
IBMは、2023年に全世界で3900人の従業員を解雇する計画を発表しているほか、全従業員のAIスキルを大幅に向上させる計画も打ち出しており、約8000人の雇用がAIに置き換えられると予想している。そのため中国でも、1年以上前から社員のリストラを進めていたという。