好調なインバウンド需要
─ 2024年上半期(1~6月)のインバウンド(訪日外国人)は1778万人と過去最高を記録しました。『ドン・キホーテ』もインバウンドが目立ちますが、安田さんは現状をどのように受け止めていますか。
安田 当社はインバウンドのお客様がものすごい勢いで伸びています。
これは円安の効果が大きくて、彼らにしてみれば、日本はめちゃくちゃ安いと。円安で困る会社や業界もあると思いますが、おかげさまで当社は円安がプラスになっています。
日本は安くて、もともと親切で、安全だと。英語が通じないのがちょっと難点ですが、最近はいろいろなIT機器が発達して、英語が通じなくてもどうにかなりますから。その意味では、インバウンドの人たちもかなり旅行しやすくなりましたよね。
─ 海外の方にドン・キホーテが人気になる理由は何だと考えますか。
安田 やはり、ドンキに来れば面白いと思ってくれているんでしょうね。
インバウンドが復活しても、中国人はまだあまり来ていませんが、最近はアメリカ人が増えました。以前なら、アメリカ人は日本で買い物などしませんでしたが、今はよく買ってくれます。これはやはり、日本が安いのとドンキで買い物をすることが面白いのだと思います。
─ 買い物が面白いというのは、日本人も外国人も同じだと。
安田 そうだと思います。ブランド品を買うのは今も昔もアジア人ですが、アメリカ人はデパートやウォルマートに売っていない商品を欲しがるし、それが面白いんです。
今、東京・渋谷の三大名所は、ハチ公とスクランブル交差点、そしてドンキです(笑)。この三大名所は、富士山より人気があります。渋谷にある『MEGAドン・キホーテ渋谷本店』は、富士山と同じぐらい人気があります。富士山は皆さん見るだけですが、われわれはきちんとお金をもらいますからね(笑)。
ハチ公は1分か2分見たらおしまいですし、スクランブル交差点は長い時間見たとしても5分がいいところ。それがドンキに行けば2時間ですからね。ハチ公2分、スクランブル交差点5分、ドンキは120分。それくらい違います(笑)。
─ それはうまい表現ですね(笑)。ちなみに、渋谷のメガドンキはどれくらい売れていますか。
安田 月商で20億円超あります。20億円を超えるというのは、すごい売上ですよ。今は想像を絶するような状況になっていて、このままいくと、年商300億円に近いところまで行くと思います。
渋谷のメガドンキは、ショッピングセンターのように大きい店ではありません。また、デパートのように高級品ばかりを売っているわけでもない。そんな高いものを販売しているわけではなく、むしろ値段の安いものを販売しているのに、それが毎月20億円を超える売上をたたき出すのですから、わたしもにわかに信じられない思いです。
わずか3~4年前のコロナ禍の頃は、インバウンドなど、誰もいない状態でしたから、本当に変化の激しい時代だと思いますね。