日立製作所とHashPortは8月27日、生体認証技術を活用したWeb3ウォレットの社会実装に向けた協業を開始することを発表した。HashPortのWeb3ウォレット基盤「Hash Wallet」に日立の生体認証技術「PBI」を組み込むことで、ユーザーは顔認証を用いた本人確認が可能となり、Web3ウォレットを利用した暗号資産取引やDID、NFT、SBTの利用時のセキュリティとユーザーエクスペリエンスが向上する。
ユーザーがデジタル資産を管理できるWeb3ウォレットには、第三者が秘密鍵を管理するカストディアルウォレットとユーザー自身が秘密鍵を管理するノンカストディアルウォレットがあり、セキュリティリスク低減のためノンカストディアルウォレットの普及が進められている。
HashPortはノンカストディアルウォレット「Hash Wallet」を提供しており、複数のプロジェクトで採用されている。HashPortと日立は、Hash Walletのセキュリティとユーザーエクスペリエンスをさらに向上させるため、PBIを活用したWeb3ウォレットの社会実装に向けて協業を開始した。
従来のノンカストディアルウォレットでは、秘密鍵の管理のためにユーザーがパスコードを管理する必要があるが、パスコードを忘却・紛失した場合に資産にアクセスできなくなるリスクがある。Hash Walletに生体認証技術を組み込むことで、ユーザーは顔認証による本人確認が可能となり、パスコード無しでロックチェーンネットワーク上の自身のデジタル資産を管理できるようになる。
また、一般的に、ウォレットの秘密鍵が漏えいすると、ブロックチェーンネットワーク上で管理している資産が危険にさらされる可能性があるが、PBIは秘密鍵を生体情報で暗号化し、本人以外には復元できない形に変換する。これにより、生体情報が漏えいしても悪用される心配がなく、高い安全性が確保される。この技術により誰でも安心してNFTや暗号資産を管理し、シームレスなWeb3体験が可能となる。
HashPortと日立は今後、NFTの利用やイベント・施設の入退場管理などさまざまな場面で、PBIを適用したHash WalletによるWeb3ウォレット体験の提供を検討しているという。両社は引き続きブロックチェーン技術を活用した新たな事業の創出や顧客体験価値の向上を支援し、安心でスマートなデジタル社会の実現に貢献していく考えだ。