アサヒグループホールディングス(GHD)傘下のアサヒグループジャパンは日本料理店「なだ万」をONODERA GROUP(24年3月期グループ全体売上高1309億円)に売却する。売却額は非公開だが、今期のアサヒGHDの業績に与える影響は軽微としている。
これを機にアサヒGHDは外食事業から完全撤退。昨年、本社前の隅田川ブルーイングなど17店舗をコロワイドグループに売却しており、今後は「本業の酒類・飲料・食品事業に注力する」(関係者)としている。
なだ万は1830年の創業から194年続く老舗日本料理店で国内25店舗、海外4店舗を経営、その他総菜等のショップを国内45店舗展開する。14年にアサヒGHDが買収し、10年間で手放すこととなった。
売却先のONODERA GROUPは高級鮨店「銀座おのでら」をはじめ、天ぷら、鉄板焼き、ラーメン、パン販売店など多種多業態を展開する。最近では質の良い国産うなぎをリーズナブルに提供する「薪焼うなぎ 銀座おのでら」も出店。和食を中心とした飲食店経営を強みに、積極的な店舗拡大が目立つ。
買収について「190年以上続く歴史あるブランドを継承し、日本の和食文化を拡大していきたい。高級ブランドの日本食店を経営する企業同士が組むことで、生産性の向上や人材の活用を含め、シナジー効果が期待できると考えた」と関係者は話す。
その他同社は、全国2800カ所以上で給食事業も手掛けるLEOCを運営、ヒューマンリソース事業では、再生医療・介護事業やJリーグの横浜FCをもち、経営の多角化を進めている。今回の買収によりシナジーを発揮し、「海外への高級和食店の出店も拡大していきたい」(関係者)としている。
「高級志向」や「美味しさ」を求めるニーズはある。だが、特色のある個店が増える中で、これまでのなだ万の料亭イメージだけでは通用しなくなっている。ONODERA GROUPがなだ万の付加価値を高められるかどうかにかかっている。