JavaによるWebアプリ開発
Webアプリ開発とは、「Webアプリケーション」を開発する一連のプロセスを指します。
WebアプリケーションはWebブラウザとして利用されている「Chrome」や「Edge」、「Safari」などのWebブラウザから利用します。このWebアプリでは様々な言語が利用されますが、本記事では汎用性が高く、あらゆる開発で利用されるJavaに限定して、Webアプリを開発する手順などを解説していきます。
Webエンジニアを目指している方、これからJavaを勉強してみようという方はぜひ参考にしてください。
【参考】:Java | Oracle
Webアプリの定義と特徴
Webアプリ(Webアプリケーション)は、インターネットを通じてWebブラウザ上で動作するアプリケーションソフトウェアです。その特徴としては、ブラウザ上で動作する、プラットフォーム(OS)に依存しない、ネットワーク経由でアクセスする、更新がサーバ側で行われる、といったものが挙げられます。
JavaでWebアプリ開発をするメリット
Webアプリの開発には様々な言語が用いられます。よく知られたところでは、HTMLやCSS、JavaScript、Java、Ruby、PHP、Python、Goなど非常にバリエーションに富んでいます。これらの中からJavaを選択し、Webアプリ開発をするメリットを3つ挙げてみました。
■ プラットフォームの独立性
Javaアプリケーションは、Java Virtual Machine (JVM) がサポートされているため、WindowsやMac、あるいはLinuxやAndoroidなど、あらゆるプラットフォームで動作が可能です。
■ 豊富なフレームワークとライブラリ
JavaにはSpringやHibernateなど、多くのライブラリやフレームワークがあり、これらを活用することで開発効率が向上します。Javaを利用して作られたWebアプリケーションの例としては、X(旧Twitter)やGoogle、YouTube、楽天などがあります。
■ 堅牢なセキュリティ
Javaはセキュリティ機能が充実しており、Webアプリケーションのセキュリティを強化するための多くのツールやAPIが提供されています。
開発環境の準備
JavaでWebアプリを開発するためには、どのような準備が必要なのでしょうか?以下に流れを挙げていきますので、イメージを把握してみましょう。
Javaのインストール
JavaでWebアプリを開発するには、開発言語であるJavaをインストールする必要があります。Java Development Kit (JDK) を公式サイトからダウンロードし、インストールします。JDKには、Javaコンパイラや実行環境が含まれています。
統合開発環境の構築
Javaによるソフトウェア開発では、統合開発環境(IDE)を整えることが重要です。IDEを整備することで、コードの編集やデバッグ、ビルド、プロジェクト管理などの機能を利用できるようになります。
代表的なJavaのIDEには、EclipseやIntelliJ IDEA などがあり、これらのIDEを使うことで、Javaアプリケーションの開発が効率よく進められます。
【参考】:Eclipse IDE | Eclipse Foundation
【参考】:IntelliJ IDEA - Java と Kotlin の最先端 IDE
Webサーバの準備
Apache TomcatやJettyなどのサーブレットコンテナをインストールし、設定します。サーブレットコンテナとは、Java Servletを実行するためのサーバソフトウェアで、Webアプリケーションのリクエスト処理とレスポンス生成を行います。
【参考】:Apache Tomcat® - ようこそ!
【参考】:Eclipse Jetty プロジェクト|Eclipse Jetty
フレームワークの選定
Javaの開発にはフレームワークを利用しましょう。フレームワークとは「枠組み」のことで、フレームワークを利用することで開発の効率や品質、保守性が向上します。フレームワークでおすすめするのは「Spring Boot」です。Webアプリの開発に便利なフレームワークで、多くの機能を提供します。
【参考】:Spring Boot
データベースの準備
データベース管理システム (DBMS)のMySQLやPostgreSQLなどを設定し、データベースの設計を行います。Javaアプリケーションからデータベースにアクセスするための設定も行う必要があります。
【参考】:MySQL
【参考】:PostgreSQL日本語ドキュメント
これらの準備を整えることで、JavaでのWebアプリケーション開発がスムーズに進行します。最近では、こうした環境をクラウドサービスとして提供しているものがいくつかありますので、利用を検討してみるといいでしょう。一例としては、Googleクラウドが挙げられます。
【参考】:Java 開発環境の設定 | Google Cloud
フロントエンドの開発
Webアプリの開発では、フロントエンド開発も必要です。HTML、CSS、JavaScriptを使って、ユーザーインターフェースを作成します。最近では、ReactやAngularなどのフレームワークを利用してフロントエンド開発が行われています。
【参考】:React
【参考】:Angular 日本語版
JavaによるWebアプリ開発のポイント
Javaを用いたWebアプリの開発では、重要なポイントが3つ挙げられます。以下のポイントに留意して、効率的かつ効果的な開発をすすめましょう。
設計の重要性
良い設計は、アプリケーションの基盤を築く重要なステップです。適切なアーキテクチャやデータベース設計、ユーザインターフェースの設計を検討しましょう。設計フェーズで要件を明確にすることで、ユーザのニーズを満たせる、柔軟で拡張性のあるアプリケーションを構築できます。
デバッグ方法
デバッグは開発プロセスの一部であり、バグを特定して修正するために重要です。IDEのデバッグ機能を活用し、ブレークポイントを設定することで、コードの実行を細かく確認できます。また、ログ出力もデバッグの重要な手法です。
ログ出力やデバッグツール、ユニットテストを活用して問題を特定し、修正しましょう。
セキュリティ対策
Webアプリケーションはセキュリティ上の脆弱性に注意する必要があります。必ず、以下のような対策を講じましょう。
・入力検証:ユーザからの入力データを検証し、不正な入力を防ぐ
・認証と認可:ユーザの認証と適切なアクセス権限を管理する
・セッション管理:セッションの有効期限やセッションIDの適切な管理を行う
おすすめの参考書
Javaを勉強する方法は様々ありますが、ここではおすすめの参考書を紹介します。参考書によって体系的に学ぶことができます。また、参考書には分かりにくい箇所に詳しい説明があり、練習問題が付属しているものも多いため、自分のレベルを確認することができます。
Java[完全]入門
本書は、Javaの基礎から始めて、開発環境の導入やオブジェクト指向プログラミング、継承、例外処理、ファイル操作、関数型プログラミングなどを丁寧に解説しています。また、すぐに試せるサンプルプログラムが掲載されていますので、理解度を高めやすいでしょう。
より実践的初心者から実務レベルのプログラマまで幅広い読者に適しており、Java学習に役立つ1冊です。
▪著者:松浦 健一郎、司 ゆき
▪出版社:SBクリエイティブ
▪ページ数:600ページ
▪出版日:2024年3月2日
【参考】:Java[完全]入門
独習Java 第6版
本書は、Javaの基本的な知識や概念、機能を体系的かつ網羅的に解説しています。Javaの最新バージョンであるJava 21に対応しており、初心者から開発者まで幅広い読者に適しています。
Javaの基本や標準ライブラリ、コレクションフレームワーク、オブジェクト指向構文、ラムダ式とStream APIについても触れています。各章末に理解度チェックの練習問題も付いていますので、Javaを基礎から学びたい方や、より深い知識を身につけたい方におすすめです。
▪著者:山田 祥寛
▪出版社:翔泳社
▪ページ数:664ページ
▪出版日:2024年2月15日
【参考】:独習Java 第6版
実践的な開発経験を積む
ここまでJavaを用いたWebアプリ開発について、Javaの特徴、JavaでWebアプリ開発をするメリット、開発環境の準備や開発のポイント、さらにJava開発に関するおすすめの参考書を紹介しました。
Javaは座学よりも実践的な開発経験を積むことでスキルが身につくでしょう。
可能であればプロジェクトに参加し、チームで協力しながらアプリケーションを開発しましょう。実践的な問題に直面し、解決策を考える経験は成長につながります。プロジェクトの参加機会が得られない場合は、自分で小規模なアプリを作成し、アイデアを形にしてみましょう。
JavaによるWebアプリ開発のスキルを高めるには、できるだけ手を動かして実践的な経験を積むのが近道です。実践を通じて問題解決能力を養い、プロジェクトで必要とされるWebエンジニアを目指しましょう。