Windows 10からWindows 11にアップグレードする場合、インストーラーによるハードウェア要件チェックをクリアする必要がある。しかし、この要件チェックを回避できる手がいくつか知られている。The Registerが「Microsoft closes off a Windows 11 requirements workaround」で伝えたところによれば、Microsoftは最新のCanaryビルドにおいて、最もよく知られている回避策を無効化したという。
「setup.exe /product server」の回避策が不可能に
Windows 11のアップグレード要件チェックの回避策として最もよく知られているのが、setup.exeに「/product server」オプションを付けて実行するというものだ。(Windows Updateではなく)ISOイメージファイルを使ってWindows 11をインストールする場合、コマンドプロンプトからsetup.exeコマンドを実行する方法を選択できる。その際、setup.exeコマンドのオプションとして「/product server」を指定すると、ハードウェア要件のチェックを回避してアップグレードができてしまう。
実は、Windows Server 2025のハードウェア要件はWindows 11よりも少し緩く、例えばWindows 11に必要なTrusted Platform Module(TPM)チップの搭載は、Windows Serverでは必須になっていない。「/product server」はWindows Serverのインストールウィザードを使用するというオプションで、これによってWindows 11の厳しい要件チェックを回避することが可能になる。
The Registerが引き合いに出している@TheBobPony氏によるX(旧Twitter)への投稿によると、Microsoftが8月15日にリリースしたWindows 11 Insider Preview Build 27686では、この回避法が使えなくなっているという。すなわち、ハードウェア要件を満たしていなければ、「setup.exe /product server」を実行してもこのビルドのWindows 11をインストールすることはできない。
ただし、この変更についてMicrosoftは公式にコメントしていないため、これが意図的に回避策を防ごうとしたものなのか、または意図しない挙動であるのかは明らかではないと説明されている。Build 27686はWindows InsiderプログラムのCanaryチャネル向けにリリースされたプレビュー版であるため、正式リリースまではまだ何段階かのプロセスを経る必要がある。
このビルドには、新しいWindows Sandbox Client Previewや、formatコマンドにおけるFAT32フォーマットの最大サイズの拡張、バッテリー寿命を向上させるための最適化、設定アプリへの仮想ハードディスク(VHD/VHDx)の切断ボタンの追加、新しい電源オプションの追加などといった改善が含まれている(参考記事: Windows 11でFAT32のパーティションサイズの上限が2TBに拡大 | TECH+(テックプラス)、Windows 11に電力消費量を管理する新しい電源オプション追加、Microsoft | TECH+(テックプラス))。