小田急電鉄は8月19日、2024年8月21日から2025年2月ごろにかけて、小田急線新百合ヶ丘駅5番ホームにおいて、画像解析AI技術を活用した列車出発時のホームにおける安全確認に資するシステムを構築することを目的とした実証実験を行うことを発表した。
現在、同社では列車出発時において安全確認を行う際、駅係員と乗務員が協力して事故防止に努めているが、将来の働き手不足を見据えると、安全・安心かつ持続可能な鉄道運行体制を早期に確立するためにはデジタル技術を活用した省力化が必要と考えられている。こうした状況を踏まえ、同社は2023年度、サイバーコアと共同して列車出発時における「ホーム端の黄色い点字ブロックと列車の間に人がいる場合」と、「閉扉後に傘などが挟まっている場合」を、ホームの上家から吊り下げられたカメラからの映像をもとに自動検知して知らせるアルゴリズム「Universal Anomaly Detection(汎用異常検知)」を開発。今回の実証実験では、実際の駅環境でこのアルゴリズムの有効性を検証することを目的としている。
実証駅は、1日10万人以上の利用がある駅から選定され、ホームに専用カメラを設置する形で実施される。混雑度合いや、天候、時間帯により明るさが異なるなどの変化する環境のなかで検証データの蓄積を進めながら、検知漏れや誤検知情報をAIに学習させることで、精度を高めて実用化を目指すという。
同社は、これまでもAIをはじめとした先端技術を導入することによる安全性の向上を図ってきており、すでに経堂駅と祖師ヶ谷大蔵駅にて、駅構内カメラ映像を用いてホームからの転落を検知するシステムを運用しているほか、踏切監視カメラ映像を用いた踏切異常状態検知に関する実証実験にも取り組んでおり、今後もデジタル技術の活用を進めていくことで、国内の生産年齢人口が減少し、小田急線の運行に従事する係員が2035年度に2020年度比で30%減少したとしても、安全・安心な運行を継続できる体制の構築を目指すとしている。