金融庁が生命保険会社による保険代理店向けの広告出稿の実態調査に乗り出した。一部の大手代理店が広告出稿の多寡で、顧客に推奨する商品を決めているのではないかとの疑念が浮上したためだ。
疑惑が持たれているのは、生命保険の乗り合い代理店「マネードクター」を全国で展開するFPパートナー社(東証プライム上場)と、大手生保各社の広告取引。FPパートナーは自宅や職場に赴く訪問型代理店。近年は生保の営業職員ルートを通じた保険加入が落ち込む中、代理店ルートは有力な販売チャネル。FPパートナーを筆頭に代理店の影響力が高まっている。
関係筋によると、FPパートナー内では、特定の保険商品を販売すると、営業担当者の評価が上がるキャンペーンを実施。対象には多額の広告費を支出している生保の商品が含まれていたという。FPパートナー側は否定するが、営業上の理由で一部の生保や保険商品を恣意的に推奨していたとすれば、収益優先で顧客を蔑ろにしたと言われても仕方がない。
金融庁は16年の保険業法改正で代理店に対し、顧客の特性に合った商品を提案するように義務付けたほか、顧客ニーズを基に、複数の商品を比べて説明・提案する「比較推奨」も求めてきた。金融庁は今回、この原則が歪められた恐れがあるとして、FPパートナーと取引がある生保を一斉調査した。
不祥事が多発した損保業界に続き、生保業界でも代理店との不透明な関係が明らかになったことで、消費者の保険不信はますます強まりそうだ。