【財務省】日銀の利上げの必要性巡り鈴木氏が河野氏に「苦言」

金融政策に関する政府・日銀の対応を巡り、鈴木俊一財務相に注目が集まっている。河野太郎デジタル相が日銀の利上げの必要性に言及したとされる一部報道に対し、鈴木氏は7月19日の会見で「市場に与える不測の影響というものを考えるならば、発言は慎重になってほしい」と苦言を呈したためだ。

 鈴木氏は河野氏に直に政府の立場を改めて伝えたことも明らかにし、「日銀との緊密な連携、市場との対話を重視する姿勢を国外に示した」(財務省幹部)のが好感された形だ。永田町で「河野氏を注意できる数少ない政治家」(閣僚経験者)であることも示した。

 19日の会見で鈴木氏は、政府として「日銀の独立性は尊重しなければならない」との立場を改めて表明。為替の水準や政府の対応について「不用意な発言が市場に影響を与えてはいけない」として、コメントを控えているとも説明した。

 この日、河野氏は閣議後会見で「今、日銀に対して利上げを直接求めているわけではない」「(利上げの必要性は)金融政策は日銀が決めることだ」と話し、事実上自身の発言に関する報道を〝軌道修正〟した。鈴木氏からの「注意」を踏まえた対応と見られる。

 一方、日銀の利上げを求める声は以前から自民党内で出ており、今回の鈴木氏の発言は9月の総裁選をにらんだ「河野氏へのけん制」(自民中堅)との見方が出ているが、財務省幹部は「為替の急激な変動を嫌ったものだろう」と解説する。

 4月に日銀・植田和男総裁の記者会見での発言が、円安容認と受け取られて為替市場で急激に円安が進み、為替介入に踏み切った〝教訓〟が背景にあるという。支持率低迷で退陣の可能性も浮上している岸田文雄政権にとって、為替の動向が経済政策に直撃すれば「もう後がない」(官邸筋)ためだ。

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