マレーシア政府が8月6日付で、同国首都クアラルンプール近郊のセランゴール州に半導体設計企業を集めたIC設計拠点「Malaysia IC Design Park」を開所したと多数のマレーシアメディアが一斉に報じている。

同施設は、首都クアラルンプールから約25kmほど離れたプチョン金融コーポレートセンターに設置され、面積は6万ft2(約5570m2)で、400人以上の技術者を収容することが可能だという。

台湾の群聯電子(Phison Electronics)の子会社Maistorageやフランスとマレーシアの合弁企業Weeroc、台湾とマレーシアの合弁企業AppAsia、中国のChipsBankやマレーシアの新興企業であるSkyechipやSensorem Tekなどの地元企業を中心に複数の企業が入居するほか、同施設に対してリソースやサービスを提供する形で各社のIC設計をサポートする主要なエコシステムパートナーとして、Arm、Cadence Design Systems、Synopsys、Siemens EDA、Keysight Technologiess、中Shenzhen Semiconductor Association(中国深圳半導体工業会)、マレーシアBlieChip Venture Capitalなどが名を連ねている。

マレーシアでは、世界の半導体企業の後工程工場が密集するペナン州も同様のIC Design Parkの設置を計画しているが、セランゴール州知事アミルディン・シャリ氏は、今回開設された拠点はペナン州の半導体経済と競合することを意図したものではなく、共存共栄を図り、東南アジア最大のIC設計拠点を目指したいと述べたという。

なお、マレーシアの半導体産業というと、これまでは半導体のパッケージング工程と最終テストを行う「後工程」が中心で、世界最大級の後工程基地というポジションとなっている。現在、マレーシア政府は、パワー半導体やMEMSなどのマチュア技術を用いた前工程(ウェハプロセス)工場の誘致を進めるともに、上流のIC設計の振興にも注力する姿勢を見せており、一大半導体拠点化を推進している。