52期連続黒字のアパホテルが広島で更なる拡大戦略を推進

全5ホテルで県内トップに

「今後も日本で伸びていく産業は何かといえば、それは観光産業。なぜなら、海外からの顧客がどんどん入ってくるからだ。人は豊かになると旅をする。だから、将来性があるのはホテルではなかろうかと。当社は今後も棟数をどんどん増やしていく」─。こう強調するのは「アパホテル」を運営するアパグループ代表の元谷外志雄氏だ。

 インバウンドで活況を呈するホテル業界。人手不足で全室稼働が難しい状況の中でもアパホテルの拡大戦略が鮮明だ。7月26日現在、全国最大の846ホテル・12万を超える総客室数(建築・設計中、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む)を誇る。

 一時はコロナ禍で宿泊客が激減したものの、2023年11月期連結決算ではグループ連結売上高は1912億円、経常利益553億円と過去最高を記録。コロナ禍でも黒字を維持し、創業以来、一度も赤字を出さずに52期連続の黒字を達成中だ。

 首都圏を中心に外資系高級ホテルの進出が相次いでいるが、元谷氏の言葉を借りると、同社の狙うターゲットは「中の上クラス」のビジネス客。パレスホテル東京では24年上期の宿泊実績で、平均客室単価が初めて10万円を超え、帝国ホテルの4月の客室単価も7万円を超える。

 アパホテルの宿泊料金は需給状況に応じて変動する仕組みだが、総じて1万~3万円ほど。外資系やシティホテルとはターゲットが異なっているため、棲み分けが図られる。また、アパホテルの場合はビジネス客を取り込むために、ポイント還元やキャッシュバックもある会員システムが集客の武器となっている。その会員数は既に2000万人を突破している。

 今後、同社は広島エリアでの出店を集中させる。広島市内で現在運営中のホテルは2棟・818室だが、7月26日に開業したホテルや10月1日、28年春頃の開業予定のホテルが加わると全5ホテル・1954室となり、県内トップクラスになる。

 圧倒的ナンバーワンを目指す─。独自の手腕と独特の嗅覚でアパグループを成長させてきた元谷氏。その真価が問われる。

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