クリエイター向けパトロネージュ・プラットフォーム「Patreon」は8月12日、「Apple’s requirements are about to hit creators and fans on Patreon. Here’s what you need to know」というブログ記事を公開し、iOSアプリでの決済方法の変更への対応をクリエイターとファンに呼びかけた。2024年11月からPatreonのiOSアプリでの新規メンバーシップ購入に、Appleの30%手数料が適用されることとなる。

従来、PatreonユーザーはiOSアプリでもAppleのアプリ内決済システム以外の決済方法が使用可能であった。PatreonがAppleの手数料の対象外であることについて、CEOのジャック・コンテ氏は「理由は不明」としていた。Patreonのメンバーシップはファンによるクリエイター支援であり、またユーザーがクリエイターやコンテンツを発見するためにPetoreonを利用しているわけではないが、これらは手数料の対象外となるには十分な理由ではない。また、Appleからの優遇措置についてもコンテ氏は否定しており、PatreonはAppleの通常の手数料ポリシーの例外として扱われていたわけでもなかった。

そうした状態が続いていたが、昨年秋にAppleからPatreonに対しアプリ内決済システムの使用と他の決済システムの削除が要求された。その結果、まず2024年1月からPatreonのiOSアプリを通じて行われたコマース購入(デジタル製品の購入など)が30%の手数料の対象となった。

2024年11月からメンバーシップ販売も30%手数料の対象となることは、iOSを通じてPatreonを利用するクリエイターの収益に大きな影響を与える可能性があり、この変化にクリエイターとファンの両方が適応する必要がある。Patreonは、クリエイターのフィードバックに基づいて、以下の選択肢をクリエイターに用意した。

  • iOSアプリ内での手数料分を加算した価格に自動的に引き上げるオプションツールを使用。クリエイターは他のプラットフォームと同額の支援を得られるが、ファンの支払い額が増える。
  • デフォルトのオプションである自動価格調整ツールを使わずに価格を据え置き、30%の手数料をクリエイターの収益から支払う。

サブスクリプション課金をすでに使用しているクリエイターは変更不要だが、クリエーションごとの都度課金または月初請求(First-of-the-month billing)を利用しているクリエイターはサブスクリプション課金を採用する必要がある。

Patreonはサービス全体の整合性を保つため、全てのクリエイターをサブスクリプション課金に移行させるための16カ月にわたる移行プロセスを開始した。2025年11月にはクリエーションごとの都度課金と月初請求を廃止する予定である。