日立が合弁会社を売却 家庭用エアコンの製造から撤退

日立製作所(小島啓二社長)が、米ジョンソン・コントロールズ・インターナショナルと共同出資で設立した空調事業合弁会社の株式を独ボッシュに売却する。譲渡額は14億ドル(約1950億円)。今回の資本再編によって、グローバル市場での競争力向上を図るのが狙いだ。

 日立が売却する共同出資会社・日立ジョンソンコントロールズ空調は日立ルームエアコン『白くまくん』を製造。だが、今回の売却で家庭用エアコンの製造から撤退することになる。

 もっとも、ボッシュが株主となる新会社は、日立の空調子会社・日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)とブランドライセンス契約を締結。これまで同様、日立ブランドの空調機器を世界に提供する。

 日立GLS社長の大隅英貴氏は「当社は環境負荷の低減など社会課題の解決に寄与する製品・ソリューションの提供に取り組んでおり、今後、新会社を通じて日立ブランドの空調機器のグローバル展開を強化していく」とコメントしている。

 近年は〝Global Boiling(地 球沸騰化)〟とも称される地球の温度上昇に加え、生成AIの急速な普及や電力不足に伴い、データセンターやオフィスを〝冷やす〟需要が高まっている。

 空調企業を巡っては、富士通が傘下の空調子会社・富士通ゼネラルを売却する方針を固めている。日立同様、成長事業と位置付けるITサービスへ経営資源を集中させる考えだ。

 一方、パナソニックホールディングスは空質・空調を重点投資領域にしている他、空調世界首位のダイキン工業も含めて、環境・省エネ技術を世界に発信するとしている。各社で事業の位置づけは異なるが、今後も空調業界の再編は続きそうだ。

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