連日にぎわいを見せるパリ2024大会。棒高跳びの世界記録、スケートボードや体操での日本の大躍進など、その話題は尽きない。このスポーツの祭典だが、現地の熱狂の模様を遠く離れた世界中に配信するその裏側で、クラウド技術が活躍している。アリババクラウドによると、衛星放送が主流だった従来の大会に対し、今大会はクラウドによる映像配信が主流となっているそうだ。
同社は今年7月、オリンピック放送機構(以下、OBS:Olympic Broadcasting Services)と共に、パリ2024大会向けのプラットフォームソリューション「OBSクラウド3.0」を発表。これに合わせ、アリババクラウドは大会に提供している技術についてメディア向けに説明会を開催した。
クラウドで効率的な映像配信を支援
アリババグループは2017年にオリンピック・ワールドワイド・パートナーシップ・プログラムに参加し、クラウドサービスの公式パートナーとなった。2018年にOBSと共同で「OBSクラウド」を立ち上げ、ライブ放送の準備を進めてきた。
OBSクラウドはバージョン1.0として、東京2020大会に導入され、本格的な稼働を開始。奇しくも、1964年の東京オリンピックで衛星放送が導入されており、再び東京を舞台とした大会で放送業界における技術変革のきっかけとなる出来事となった。
冬季の北京2022大会ではOBSクラウド2.0として、クラウドを利用してより多くのコンテンツを低コストかつ環境負荷を抑えながら配信する仕組みを整えた。同大会で公式のメディア・ライツ・ホルダーに初めて標準サービスとして提供され、22の放送局が契約したとのことだ。クラウドの強みを生かした柔軟なリモートプロダクションによって、大会現地の人員コストの削減に寄与した。
パリ2024大会では従来の衛星放送に代わり、オリンピックの歴史で初めてクラウド放送がライブ信号配信の主流となった。リモートサービスの3分の2に相当する54放送局がクラウド経由でコンテンツを配信している。
同社は世界に30リージョン、89のアベイラビリティゾーンを構える。このグローバルネットワークを活用することで、従来の放送で必要とされていた大会開催地での機材の配備や人員の配置が不要となり、効率的なコンテンツ編集が可能となる。