クリックテック・ジャパンは8月7日、都内で記者説明会を開き、新製品「Qlik Talend Cloud」の提供開始を発表した。米Qlik 副社長 兼 データ事業本部長 ドリュー・クラーク氏が来日し、説明を行った。

  • 米Qlik 副社長 兼 データ事業本部長 ドリュー・クラーク氏

    米Qlik 副社長 兼 データ事業本部長 ドリュー・クラーク氏

データ分析の5つのトレンド

はじめに、クラーク氏は2024年下半期におけるデータ分析の市場トレンドとして、以下の5つを挙げた。

  1. ポイントソリューションからレイクハウスパラダイムにシフトする流れ

  2. AIと非構造化へ予算をシフト - 生成AIのためのLLM(大規模言語モデル)とRAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)、

  3. 製品としてのデータ 新しいメッシュの概念

  4. AIのためのデータ統合とデータ統合のためのAIというニーズ

  5. 新たな局面を迎えるAIにおける信頼できるデータの重要性

  • データ分析市場のトレンド

    データ分析市場のトレンド

5に関して、同社では顧客に対して調査を行った結果、グローバルにおいて98%の経営層が今後3~5年間にAI基盤モデルが組織の戦略で重要な役割を果たすと確信しているが、39%の企業のみしか現時点で明確なAI戦略を持っていないことが判明した。

データから成果につなげる間にはギャップがある

クラーク氏は「データの使用と、それを成果につなげていくことに関しては、まだギャップがあることに加え、信頼性におけるギャップも依然として存在している。データアナリティクスに関して、データとビジネスの成果におけるギャップをどのように埋めていくかについて検討を重ねた」と述べた。

このようにデータから成果へと橋渡しするためには、あらゆるソースからあらゆる種類のデータを集めて変換する「移動/変換」、信頼性と説明可能性を向上させる「信頼性」、社内の利用者がアクセスできるようにする「接続性」、AI分析、機械学習、非構造化データのための生成AIを含めた「解析/予測/回答」、「行動」の5つのステップが重要だという。

  • Qlikのデータプラットフォームは5つのステップを補完する

    Qlikのデータプラットフォームは5つのステップを補完する

同氏は「これら5つを効果的に実施している企業は、ギャップを縮めることができるようになる。それによってビジネス上のアドバンテージや価値を生み出すことが可能だ」と話す。それを実現するものがQlik Talend Cloudだ。

大規模なAI価値創造を実現する「Qlik Talend Cloud」

同製品は、大規模なAI価値創造を実現するための包括的な統合ソリューションと位置付けており、企業の責任あるAI導を促進するように設計されているという。ノーコードからプロコードまで、AIにより強化されたデータ統合機能を提供し、企業があらゆるレベルでデータの整合性を維持し、AI導入を加速できるよう支援するとのこと。

200のコネクタを持ち、まずはSaaS(Software as a Service)やSAP、メインフレームなどからのデータの取り込みを可能としている。また、データの変換についてはETL(Extract:抽出、Transform:変換、Load:格納)のほか、DatabricksやSnowflake、Amazon Redshift、Googleなども利用できる。さらに、ベクトルデータベースやマルチLLM、AWS Bedrock、Snowflake Cortex、Databricks AI Functionなどの利用が可能。

そして、信頼度を高めるための「Trust Score for AI」を備えており、AIデータの全体的な品質を反映する単一の分かりやすいスコアを提供することで、AI データセットの信頼性を評価するように設計されたシステムでモデルを改善することができる。

  • 「Qlik Talend Cloud」の概要

    「Qlik Talend Cloud」の概要

EL(抽出、格納)やCDC(変更データキャプチャ)、ELT(抽出、格納、変換)、ETL、CDC/ETL、ETLT(抽出、変換、格納、変換)など、幅広いデータパイプラインのパターンに対応。データエンジニアやデータサイエンティストがAIを活用したデータパイプラインを展開できるよう、データ統合と品質機能の統合パッケージを提供し、企業のAI導入に伴うリスクを低減する。

  • 「Qlik Talend Cloud」は幅広いデータパイプラインパターンに対応

    「Qlik Talend Cloud」は幅広いデータパイプラインパターンに対応

これにより、データの移動/変換のステップにおいて、データ統合タスクの簡素化と高速化を図る「AIによるデータエンジニアリング」と、AIワークロードの運用を担う「AI Readyなデータパイプラインの構築」が可能になるという。

  • データの移動/変換においてAIを活用できる

    データの移動/変換においてAIを活用できる

新製品は「Starter」「Standard」「Premium」「Enterprise」の4つのエディションを企業規模ごとに揃え、機能やユースケースなどにより選べる形となっている。

  • 4つのエディションの概要

    4つのエディションの概要

最後にクラーク氏は、Qlik Talend Cloudについて「信頼できるデータ基盤として、AI Readyなデータパイプラインの作成を可能とし、Trust Score for AIでモデルの改善でき、AIによる生産性の向上とともにAIを使うための生産性向上を実現できる」と力を込めていた。