日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は8月6日、電力密度と効率の向上やEMIの低減に役立つ設計を採用した新たなパワーモジュール6製品を発表。それに併せて、オンラインでこれら製品の詳細説明会を開催した。
電源設計の課題として、電力密度の向上やEMIの低減、低静止電流、ノイズに対する頑健性、絶縁の維持という5つが知られている。
今回、同社では電流密度の向上を図ることを目的の中心に据えてパワーモジュールの開発を推進したとするが、電力密度の向上のためには、高効率を維持しつつ、なるべく小さなスペースにする必要がある。
電源設計の場合、ICは重要なコンポーネントとなるが、その周辺にはトランスやインダクタなどの受動部品も配置する必要があり、同社で今回、ICと磁気部品であるインダクタを1パッケージに集積する方向で、パッケージ技術の見直しを行い、その結果として、独自開発の新素材を採用した磁気部品とIC間の距離を縮めるなど、デッドスペースをなくしたことで、パッケージの小型化を実現。競合製品比で23%の 小型化、自社の前世代品比で50%の小型化を実現しつつ、6Aパワーモジュール品では1mm2あたりでほぼ1Aという電力密度を実現したとする。
また、小型化したことの副産物として、従来製品比で2~4%ほどの効率向上を果たしたほか、熱抵抗の17%低減、安全同左領域(SOA)の10℃引き下げを実現したとする。さらに、全面シールドパッケージとしたことで、放射型EMIも最大8dB低減するというEMI低減効果も達成できたとする。
加えて、従来外付けで使用していたインダクタを内蔵したため、電源システムとしての部品点数の総数そのものは減らせるとしているが、外付けのインダクタンスそのものがすべて不要になるわけではない点に注意が必要と同社では説明している。
同社では、この磁気部品内蔵パッケージング技術を「MagPack」と命名。第1弾として、入力電圧は異なるが、5つの降圧モジュール(6Aが3製品、3Aが2製品)と1つの昇圧モジュールの6種類を製品化。今後、さらに商品の拡大を図っていくとしている。
なお、第1弾の6製品については、すでにTI.com経由で量産開始前のサンプルを入手可能となっているほか(1000個注文時の単価は参考価格として1.33ドル)、評価ボード各種も49ドルにて入手可能となっている。