当社は青森県の廃棄りんごや残渣を使用したエシカルレザー「RINGO―TEX」の開発、製造、販売を手掛けています。2022年に青森市で創業した東北大学発のバイオベンチャーです。
我々が製品の販売などで利益を出すことで、りんごや残渣を供給して下さるりんご農家さんへの貢献になり、農業が持続可能になると同時に、我々は持続的に残渣などの原料を調達できるといった環境をつくっていこうとしています。
大手航空会社であるANAさんとコラボさせていただいており、機内のヘッドレストカバーの他、ECサイトや機内販売でレザー小物を取り扱っていただいています。
テレビ番組で紹介された我々の取り組みをANAの担当者の方がご覧になっていて、直接ご連絡をいただき、コラボが実現しました。材料が全て国産で、サプライチェーン全体を通じて環境、地域、産業、未来を考えるというストーリー性をご評価いただきました。
他にも、SEIKOさんとのコラボで、ビートルズの『ア・ハード・デイズ・ナイト』60周年記念限定モデルのバンドにも採用されました。今後も世界を見据えて、ブランド価値の向上を進めていく考えです。
将来はいつの間にか、レザー全体がエシカルなものに変わっていたという未来を築き、圧倒的なブランド力を持つ存在になっていたいと思っています。
そんな私の転機は、このエシカルレザーとの出会いです。私は専門学校を卒業後、東京で美容師として働いていました。その中で、お客様が加齢によるお悩みを抱えておられることを知り、解決のために再生医療の道に足を踏み入れました。ただ、その世界は「私益」が強すぎて「公益」に結びつきづらいという思いを抱くようになりました。
そんな時、シンガポールにいる友人からエシカルレザーの存在を教えてもらいました。みかんやキノコ、サボテンなど様々なものから製造が可能ですが、我が故郷の名産・りんごで作られたものはありませんでした。「これだ」と考えて地元に戻り、起業したのです。
業界を移ってはいますが、私の中で「世のため人のため」という考えは一貫しています。この仕事は、これまでの歩みが全て生きる集大成だと考えて、打ち込んでいきます。