富士通は8月2日、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)のグローバル動向について調査した「富士通SX調査レポート2024 - AIが加速するサステナビリティ・トランスフォーメション」を公開した。特にSXにおけるAI活用とAIがビジネスや社会に与えるインパクトの実態把握を目的として、世界15カ国の経営者層(以下、CXO)800人を対象に調査を実施した。
今後3年以内にほぼ全ての業務にAIが浸透する
調査の結果、CXOの半数以上がAIの急速な進化への対応が今後の経営を左右すると認識しており、AIの取り組みを強化していることが明らかになった。また80%近くのCXOが、商品・サービスの機能強化や経営意思決定支援など、これまでAIでは難しかった複雑な意思決定を伴う領域への活用を計画しているという。富士通は今後3年以内にほぼ全ての業務にAIが浸透していくと予想している。
75%のCXOが、人とAIのコラボレーションが進み、ビジネスプロセスが大きく変わっていくと考えていることも明らかになった。同社はこうした時代に向けて、人がAIを活用してより創造力を発揮するための論理的な思考能力や目的を設定し、人ならではの新たなスキルを開発する必要があるとしている。
多くの企業はAI導入の初期段階
AI活用に向けた準備状況は企業によってさまざま。約40%の企業がAIの全社戦略を策定する前段階にあり、AIの全社戦略とガイドラインにもとづいてAI活用のためのリソース整備を実施している企業は12%だった。
AIの力でSXを加速する
CXOの60%以上が、AIの活用促進がDX(デジタル・トランスフォーメーション)や社会課題の解決に寄与すると考えていることが示された。加えて、サステナビリティのビジョンや戦略を策定し、自社の組織能力を高め、AIを中心とするテクノロジーの活用に意欲的に取り組んでいる先進的な企業(パイオニア企業)は、その他の企業に比べてより高い割合でサステナビリティの取り組みを売上に結びつけ、ビジネス化に成功していることも明らかになったそうだ。
SXを成功に導くための提言
富士通は、調査対象企業の取り組みおよびパイオニア企業の取り組みから、SXを成功に導くためのCXOへの提言として以下のように示している。
(1)AIを人の能力拡張やウェルビーイング向上に活用する
(2)AI活用を加速するための全社戦略策定とガイドライン整備を推進する
(3)AIをサステナビリティ課題に対応するために活用する
(4)サステナビリティ向上をビジネスとして取り組むための組織能力を強化する
(5)サステナビリティを志向したエコシステムを構築する