2024年3月1日、当社は住友商事様と合弁で、企業や組織のGX(グリーントランスフォーメーション)推進の支援を行う「株式会社GXコンシェルジュ」を新たに設立しました。
この取り組みの背景には、我々が進めてきた「価値共創」で社会変革を加速させるという戦略があります。この戦略は5年ほど前から当社の社長・山田貴博とも対話を重ねながら取り組んできたものです。
当社は20年以上にわたって手掛けてきた総合商社様とのビジネスを通じて、彼らが持つ新しい価値、ビジネスを生み出していく力を実感してきていました。
一方、当社は総合コンサルティング企業として、戦略コンサルティング、企業向け業務アプリケーション導入に対するコンサルティングサービスを強みとして成長してきました。しかし近年は新たな価値・ビジネスを創造するコンサルティングサービスの提供にも注力しています。
さらに言えば、従来のコンサルビジネスのように、コンサルティング企業1社だけがサービスを提供するだけでは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現といった社会課題解決に貢献できないケースもあり得ると考えました。そこでアビームとして、パートナーとの共創による新しいビジネスを生み出すことに挑戦していくべきだという結論に至りました。
パートナー様と組んで新たなビジネスを生み出そうと考えて立ち上げた案件が「GXコンシェルジュ」です。住友商事様とは22年から共同でGX支援サービスを手掛けてきました。
2050年のカーボンニュートラル、2030年の中間目標を見据えた時には、エネルギーの供給側、需要側いずれも課題を抱えています。従来のコンサルティングでは顧客企業1社との契約が多いですが、今回はサプライチェーン全体にサービス提供を行っていく構想です。
住友商事様とは「ワンチーム」で事業推進に取り組んでおり、当社の若手も従来とは異なるアプローチによる新たな仕事でモチベーションを高めています。
GXコンシェルジュでは、GXコンサル、GHG(温室効果ガス)削減ソリューション、GXに関連したDXソリューションをワンストップで提供します。
また、単にGXコンシェルジュが持つサービスを売っていくのではなく、株主両社の強みを持ち寄って、顧客の経営戦略に基づく、GX実現に向けたソリューションを提供していく点に我々の特長があると考えています。
15年のパリ協定以降、気候変動対策が進み、グローバル企業は事業を進める中で各国の規制などに直面するケースも多く、経営課題として認識して推進しています。一方、中小企業は、まだ自分事として捉えている企業が必ずしも多くないのが実態だと思いますが、国や自治体、金融機関などが先導する形で意識変革が進もうとしています。
マクロの動きを見ると、気候変動対策に加えて、産業強化・創出を目的とした政策が欧米で進んでいますし、「グローバルサウス」の豊富な天然資源や人口増を背景とした経済的なプレゼンス拡大も看過できません。そうした社会・経済情勢の変化を織り込みながらも、カーボンニュートラルに向けた大きな流れは変わらないと見ていますし、日本の技術力という強みが発揮できる分野です。
GXコンシェルジュは2029年を目処に20億円の売上高を目標にしています。またGX以外でも、新たな事業を生み出せそうな芽が出てきていますから、近い未来に立ち上がってくることを期待しています。