日立製作所(日立)が7月31日に発表した2025年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比2.5倍の1753億円だった。同期間としては4年ぶりの高水準となった。売上高にあたる売上収益は5%減の2兆2114億円、調整後営業利益は51%増の1976億円だった。

  • 日立の4~6月期の純利益は前年同期比2.5倍の1753億円だった

    日立の4~6月期の純利益は前年同期比2.5倍の1753億円だった

DX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)市場を捉えた売上成長により、同社が中核と位置付ける「IT(デジタルシステム&サービス)」、「環境(グリーンエナジー&モビリティ)」、「産業(コネクティブインダストリーズ)」の3事業で増収増益を達成した。

IT事業では、国内のエネルギー分野や公共分野で大口案件獲得のほか、生成AIやクラウド利用で高まるデータセンター需要により、国内外でストレージ案件が伸長した。同日の決算発表会に登壇した執行役専務 CFO(最高財務責任者)の加藤知巳氏は「セキュリティやクラウド関連、製造・流通向けサービスなどが好調だった」と説明した。

  • 日立製作所 執行役専務 CFO 加藤知巳氏(7月31日)

    日立製作所 執行役専務 CFO 加藤知巳氏(7月31日)

また環境事業では、鉄道システムと日立エナジーの前年同期大口受注の反動減の影響を受けつつも、原子力案件と為替影響により増収。日立エナジーは5月、仏の国営電力会社であるRTEと洋上風力発電所向けHVDC変換所6基を提供する契約を45億ユーロ(約7442億円)で締結した。

さらに、鉄道システム事業を手掛ける傘下の日立レールは5月、20億900万ユーロ(約3049億円)で仏の大手電機企業タレス社のグラウンドトランスポーテーションシステムズ部門(以GTS)の買収を完了させた。

  • 日立レールは5月に仏タレス社のGTSを約3049円で買収した

    日立レールは5月に仏タレス社のGTSを約3049億円で買収した

稼ぎ頭はDX支援事業の「Lumada(ルマーダ)」だ。同事業の売上収益は、前年同期比17%増の5980億円だった。米Microsoftや米Google Cloudと生成AIに関する戦略的アライアンスを締結したり、米NVIDIAのDGX BasePOD 認定を取得し、企業のAI対応を支援する「Hitachi iQ」の販売を開始したりするなど、成長施策を加速させている。

また、生成AIを活用し、対話で製品の保守を促す「Talkative Products」の開発も進めているとのこと。日立の小島啓二社長は4月、2024年度中に生成AIへ3000億円投資すると表明した。データセンターへの投資に加え、生成AI関連企業のM&A(合併・買収)を進める方針を掲げている。

  • 日立製作所 執行役社長 兼 CEOの小島啓二氏(4月26日)

    日立製作所 執行役社長 兼 CEOの小島啓二氏(4月26日)

25年3月期通期の業績予想は据え置いた。売上収益は前期比7%減の9兆円、純利益は2%増の6000億円を見込む。