国内各地の空港で、航空燃料の不足により、航空会社の増便や新規就航が難しくなる事例が相次いでいる。好調に推移するインバウンドへの影響を懸念する声が地方自治体や空港関係者から出始めており、早急な対策が求められている。
6月18日には経産省と合同で設置した「官民タスクフォース」が初めて開催され、議論が始まった。北海道や広島県の地方空港では、元売り業社からの燃料調達が困難だったことを理由に海外の航空会社が増便や新規就航を断念する例が出たとして、自治体側からは両省に原因究明や対策を求める要望書が提出された。
ただ、問題の解決は一筋縄ではいかなさそうだ。経産省は、航空燃料そのものは確保できている状態だと主張するが、製油所の統廃合が進んだことが供給を停滞させている点は否めない。また、内航船や陸路での輸送にも支障が生じているという。
4月からの残業規制強化による「物流の2024年問題」が背景にあるとみられる。輸送力の強化については「中長期的に取り組むべきこともある」(国交省関係者)とするものの、人手不足が進む中で効率的な航空燃料の供給にどのように取り組むか、両省で歩調を合わせてできるものから早期に策を講じることも必要だ。
今のところ国内航空大手には影響が出ておらず、一部地域で就航を希望する海外の航空会社への影響のみにとどまっている。しかし、航空燃料が安定的に供給されない状況が長引けば、盛り上がりを見せるインバウンドを地方にも呼び込もうという機運に水を差しかねない。
斉藤鉄夫国交相は21日の会見で、「非常に大きな問題だと思っている。外国の航空会社が入るのを断念させるようなことがないように、しっかり対策を打っていきたい」と強調した。