川崎重工業と鹿島建設は7月26日、川崎重工が保有するDAC(Direct Air Capture)を、鹿島などが開発したカーボンネガティブコンクリート「CO2-SUICOM」(シーオーツースイコム)の製造に利用するための共同研究を開始したことを発表した。
DAC技術は、大気中からCO2を直接回収する技術の総称で、川崎重工の場合、CO2の吸収に最適な多孔質材料とアミン化合物から成る固体吸収材によって、大気中のCO2を分離・回収することができる点を特徴としている。
一方の鹿島らが開発したCO2-SUICOMは、コンクリートの製造時にCO2を吸収・固定することでCO2排出量を実質ゼロ以下にできる技術で、プレキャストコンクリート製品工場にて炭酸化養生を行うことにより、CO2を吸収・固定させることができる。
この炭酸化養生で用いるCO2は現状、外部から購入しているが、今後のCO2-SUICOMの普及展開にあたっては、CO2の調達手段が課題となっているとのことで、今回、鹿島は必要なCO2を必要な場所でタイムリーに調達できるDACに着目。数十年にわたり開発を進めている川崎重工と共同研究を開始するに至ったと説明している。
なお両社では、川崎重工が保有する最先端のDAC技術と鹿島のCO2-SUICOMを組み合わせてCO2の回収・利用(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)を実施できれば、カーボンニュートラル社会の実現に寄与できるとしており、今後、プレキャストコンクリート製品工場に適したDAC装置の構成を検討し、連携させた形でのCO2-SUICOMの製造実証を行っていきたいとしている。