ホロラボは7月25日、3D Gaussian Splatting技術を用いて作成されたデータと楽曲で構成される空間体験を現実世界に配置し、第三者に追体験させるAR(拡張現実:Augmented Reality)アプリ「Spatial Curator」を開発したことを発表した。追体験のたびにクリエイターに自動で報酬が分配される仕組みの実証実験を開始する。なお、実証実験は電通グループが主催する小中学生向けの落合陽一サマースクールにおいて実施される。
Spatial Curatorの概要
3D Gaussian Splattingとは、動画や写真から3Dシーンを作成して表現するための技術の1つで、従来の3Dメッシュや点群と比べ、対象物だけでなく周囲の空間も含めて高品質に表現できる手法。
新たに開発されたSpatial Curatorでは、3D Gaussian Splattingを使ってARで地理空間に配置することで、作成者が体験した当時の空気感を再現する。また、天気APIから当時の天候を取得して時間帯や天気などの状況を反映させることで、実際の天候と比較しながら追体験できるという。
電通グループのR&D組織である「電通イノベーションイニシアティブ」(DII)が共同研究先各社と共同で技術開発を進めてきたNFT(非代替性トークン)技術方式「地理空間連動NFT」と紐づけられ、追体験が行われるたびにNFTを配置したクリエイターに自動で報酬分配が行われるスマートコントラクト経済圏の実現可能性を検証する実証実験を開始する。
具体的には、3D Gaussian Splatting技術を使って特定の場所にデジタル化された3Dコンテンツを配置し、その空間体験を提供。ユーザーがARアプリを通じてコンテンツを体験するたびに、製作したクリエイターに自動的かつリアルタイムで報酬が分配される仕組みだ。
参加者が制作した作品を参加者のウォレットと紐づけられたNFTとして実空間に配置し、ARアプリを通じて第三者がそのコンテンツを追体験するたびに、スマートコントラクト技術により、作品を作った生徒に報酬として限定動画を視聴する権利などの権利執行を可能とするNFTが自動的に配布されるという。ホロラボは同実証を通じ、若年世代の受容性や新たなUGCコンテンツ追体験市場の可能性を検証するとしている。