「グローバルで続々と出店してきたことで、各国での知名度が向上しており、業績拡大の良い循環が生まれている」
こう語るのは、ファーストリテイリングCFO(最高財務責任者)の岡﨑健氏。
ファーストリテイリングが2023年9月―24年5月期の連結業績を発表。売上収益、営業利益とも大幅な増収増益となり、過去最高を更新した。
現在、同社の売上や利益をけん引するのは、海外ユニクロ事業。国内ユニクロ事業に加え、北米、欧州、東南アジアが大幅な増収増益。5月には中国・武漢に旗艦店をオープン、インドでもムンバイ初のユニクロを出店するなど、積極的な店舗出店が功を奏した。
もっとも、懸念材料は、これまで成長をけん引してきた中国事業が減収減益となったこと。中国の景気後退が同社の成長に急ブレーキをかけている。
ユニクロのグレーターチャイナCEO(最高経営責任者)の潘寧氏は「景気には周期があるので、必ず良くなるタイミングが来る。これまでも、当社は逆境の中でも力強く成長してきた。基本に忠実に、企業理念の本質的な部分を理解し、行動していけば、必ずお客様に喜ばれる売場づくり、サービスができる」と語る。
それでも、24年8月期の通期業績見通しを上方修正。売上収益は3兆700億円(前年同期比11.0%増)、営業利益4750億円(同24.6%増)、当期利益3650億円(同23.2%増)と、いずれも過去最高を見込んでいる。
一方、流通業界を巡っては、3位のファーストリテイリングとは対照的に、減益となったのが首位のセブン&アイ・ホールディングスと2位のイオン。
決算期が違うので単純比較はできないが、セブン&アイの24年3―5月期の連結業績は、純利益が213億円(同49.3%減)。同社が注力する海外コンビニエンスストア事業が伸び悩んだ他、総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂が赤字だった。また、イオンの純利益は51億円(同71%減)で、セブン&アイ同様にGMS事業の赤字や賃上げに伴う人件費増が響いた。
各社とも増収は確保しており、課題事業を抱えながらの経営のかじ取りが続く。