デリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」を手掛けるWolt Japanは7月23日、モバイルオーダーに対応したWebサイトが構築できる事業者向けの新サービス「Woltストアフロント」の提供を開始すると発表した。
Woltストアフロントを導入した事業者は、複雑なコーディングを必要とせずにモバイルオーダーシステムを作成できる。初期費用と月額費用は不要で、決済一件ごとに手数料を支払う仕組み。また、即時配達サービス「Wolt Drive」を連携させることで、注文を受けた商品の配達までを行えるようになる。
同社は、オンライン販売チャネルの構築から運用開始後の商品配達までをワンストップで支援し、飲食や小売業界のデジタル化を後押ししていく考えだ。
2014年に北欧フィンランドで創業したWoltは、日本に2020年に進出した。2024年7月現在、24都道府県41エリアに展開しており、フードデリバリーに加えて、地域の物流サービスや、リテールに関するソフトウェア、金融ソリューションなどの開発にも携わるほか、配達専用スーパー「Wolt Market」も手掛けている。
Woltは2022年6月にサンフランシスコに本社を置くDoorDashに買収され、現在は31カ国7000以上の都市で事業を行い、日本を含む27カ国でWoltのブランドでサービスを展開している。
7月23日の記者発表会に登壇したWolt Japan 代表のナタリア・ヒザニシヴィリ氏は「Woltはクイックコマースのリーディングカンパニーだ。日本とフィンランドには顧客体験を第一とする文化的類似性があり、日本のデリバリー市場は高い成長ポテンシャルを持っている」と、日本への展開を重視する考えを述べた。
今回新たに発表したWoltストアフロントは、店舗のDXを一元化するサービスだという。Webサイトの構築だけでなく、同社の決済システムや配達網を提供することで、デリバリーやテイクアウト、店内QRオーダー(2024年4Q導入予定)にも対応する。
Woltストアフロントで作成するWebサイトには、商品のトッピングやカスタマイズができるオプションの設定や、割引の設定、決済方法、置き配注文といった、幅広い機能を追加することができ、それぞれの事業者のニーズに合わせた構築が可能だ。
連携が可能なWolt Driveは、パートナー企業の即時配達サービスをWoltが請け負うB2B2Cサービス。受注した商品を30分以内に顧客に届けることができる。配達中は、事業者と注文者ともにアプリ上で稼働状況や商品の配達までの所要時間が確認できる。
サービスの提供地域は、自社配達とテイクアウトの場合は47都道府県全域で、配達にWolt Driveを利用する場合は、24都道府県45エリアで、順次拡大予定とのこと。
Wolt Japan 営業統括本部長の安承俊(アン・スンジュン)氏は「人手不足でシステムを導入したが、さまざまなベンダーのシステムを導入してしまったために、かえってコストが大きくなったという事業者は少なくない。新サービスで店舗DXの一元化をさらに加速し、運営負担の最小化を目指す。新しく飲食店を始めたいと思う事業者が一番初めに思いつくサービスになりたい」と述べていた。