onsemiは7月18日(米国時間)、同社の最新世代SiC技術プラットフォームとなる「EliteSiC M3e MOSFET」を発表した。

  • 「EliteSiC M3e MOSFET」

    「EliteSiC M3e MOSFET」のチップ画像 (提供:onsemi)

同製品は、次世代電気システムの性能と信頼性をより低い電力コストで実現するためのもので、電力変換損失を抑えながら、高いスイッチング周波数と電圧で動作することを可能とするとしている。そのため、電気自動車のパワートレイン、DC急速充電器、ソーラーインバータ、エネルギー貯蔵ソリューションなど、幅広い自動車および産業用アプリケーションへの適用が期待されるとするほか、持続可能なAIエンジンの運用によるエネルギー需要の急増に対応するため、より効率的で高出力なデータセンターへの移行も実現するともしている。

具体的な性能としては、前世代比で導通損失を30%低減、ターンオフ損失も最大50%低減できるとしている。また、低い特性オン抵抗(RSP)と短絡耐久性も備えているともしている。これはSiCの使用量が多いトラクションインバータ市場にとって重要で、同社でも先端ディスクリートおよびパワーモジュールにパッケージされた1200V M3eダイは、従来のEliteSiCデバイスよりも相電流が増加しており、同じトラクションインバータハウジングで出力電力が約20%増加するとしているほか、出力レベルが一定の場合は、SiC含有量を20%減らして設計できるようになり、コスト削減と同時に、より小型で軽量かつ信頼性の高いシステムの設計が可能になると説明している。

  • 「EliteSiC M3e MOSFET」

    「EliteSiC M3e MOSFET」のウェハ (提供:onsemi)

なお、同製品はTO-247-4Lパッケージで現在サンプル出荷中であり、このほか同社では2030年までに複数世代にわたるSiCプラットフォームをリリースする計画であるともしている。