東洋エンジニアリングは7月19日、応募していた経済産業省の公募案件「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」における採択通知を受けたこと、ならびにこの採択決定を受ける形でインド国営電力公社NTPCとインドにおける環境循環型のメタノール(e-メタノール)の製造・事業性に関する共同検討を開始したことを発表した。

  • 東洋エンジニアリングのメタノール合成反応器「MRF-Z」

    東洋エンジニアリングのメタノール合成反応器「MRF-Z」によるe-メタノール生成フローのイメージ (出所:東洋エンジニアリング)

今回採択された共同検討は、NTPCが製造を計画するインド南部におけるグリーン水素とバイオマス由来の二酸化炭素であるバイオジェニックCO2を活用し、東洋エンジニアリングの独自技術である「g-Methanol」を活用してe-メタノールを製造、日本へ輸出した後、船舶燃料として供給、または原料として低炭素合成燃料を製造・販売するバリューチェーン構築事業の可能性を模索するもの。調査期間は約1年間で、実際に製造されたe-メタノールの日本でのオフテイク候補企業はENEOSだという。

東洋エンジニアリングのg-Methanolプロセスは、さまざまなCO2排出源から回収したCO2と、再生可能エネルギー由来の水素から合成されたe-メタノールを製造する技術で、回収したCO2をメタノール経由で他の化学品原料に変換したり、メタノール由来の輸送燃料に変換したりするなど、カーボンリサイクルの選択肢の多様化につながると同社では説明している。

すでに東洋エンジニアリングは、子会社のToyo Engineering Indiaを通じて、2021年10月にNTPC向けに1日あたり生産量10トンのg-Methanol実証プラントのライセンス契約を受注済みで、今回の調査事業はNTPCとの関係をさらに発展させることも目的の1つとして含まれているという。

なお同社は今後も、化学・エネルギー分野に対する保有技術や経験を生かして、クリーンエネルギーを持続的に共有すること、ならびにバリューチェーンの構築を推進することで循環型社会の構築に貢献していきたいとしている。