コスモ石油、積水化学工業、朝日エティックの3社は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池をサービスステーションの屋根および事業所のタンク壁面に設置するための共同実証実験を7月18日より開始したことを発表した。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大が求められており、太陽光発電はその主力電源として期待されている。しかし平地面積が日本においては、従来のシリコン系太陽電池の設置に適した土地が限られることが課題として挙げられている。
そのため新たな方策として検討されているのがフィルム型ペロブスカイト太陽電池で、軽量かつ柔軟という特徴を持つ同電池は、従来設置が難しかった場所に適用できる可能性が増すことから、再エネ導入量拡大に貢献する有力な選択肢として期待が高まっているという。
そうした中で積水化学は、独自技術である「封止・成膜・材料・プロセス技術」を活用し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発で重要な屋外耐久性について10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築したとのこと。さらに同プロセスを用いて発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しており、現在はさらなる耐久性や発電効率の向上、そして1m幅での製造技術の確立に向けて開発を加速させている。
今回の実証では、積水化学が製造するフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、朝日エティックの設置・施工技術を用いて、コスモエネルギーグループが運営するサービスステーションの屋根や事業所のタンク壁面などに設置することの検証が行われるとのこと。同実証は、コスモ石油中央研究所(埼玉県幸手市)および朝日エティック東京工場(埼玉県加須市)ですでに開始しており、1年間を予定しているとする。
なお3社は、今回の実証で得られた結果を全国の耐荷重が少ない屋根や垂直曲面設備などへも展開することで、ペロブスカイト太陽電池を用いた再エネ導入の拡大とカーボンニュートラルへの貢献を目指すとしている。