米国政府が日本の東京エレクトロン(TEL)やオランダのASMLなど、米国外の半導体製造装置企業が、中国向けに先端半導体技術を提供し続ける場合、貿易制限措置をさらに強化することを検討していると日蘭両政府に伝えたと米国経済メディアのBloombergをはじめ、ロイターなど複数のメディアが報じている。
それらによると、米国は外国直接産品ルール(FDPR)という最も厳しい措置の適用を検討しており、米国製技術を少しでも使用した外国製品(日本など米国外で生産された製品)にも輸出制限措置を適用することを可能としようとしているという。実際にこうした厳しい貿易制限措置が講じられれば、TELやASMLの中国事業が締め付けられることになる。
これらの報道について、米国商務省や日本の経済産業省はコメントを控えているほか、TELやASMLも両国政府のやり取りにコメントする立場にはないとしている。
ちなみにASMLの決算情報に基づくと、同社の中国向け売上高比率は2024年第1四半期で49%、2023年第4四半期で39%、同第3四半期で46%、同第2四半期で24%、同第1四半期で8%と、急速にその比率を高めている。一方のTELは、2023年度(2024年3月期)の中国市場向け売上高は全体の44.4%を占めており、こちらも四半期ごとに中国比率が高まっている。
なお、米国政府は、Huaweiの資本が第3者名義で投入されているとみられている中国国内の複数の新興半導体メーカー(芯恩青島集成電路や昇維旭技術、鵬新旭技術など)やDRAMの量産を進めている長鑫存儲技術(CXMT)をエンティティリストに登録することを検討していると以前から噂されているが、実際にそうした公式発表はなされていない。