半導体・FPD製造向けシリコンおよびガラス基板自動搬送システムメーカーのローツェ(広島県福山市)が2025年2月期第1四半期(2024年3〜5月)の決算を発表した。

それによると売上高は、前年同期比75.5%増の292億8800万円、純利益は同146.7%増の87億7400万円と好調だった。

売上高構成比を見ると、全体の76%が半導体製造装置メーカー向けで、残りの24%が半導体メーカーなどのエンドユーザー向けだった。同四半期の好業績の主たる要因は、中国半導体製造装置サプライヤ向けのEFEM(Equipment Frontend Module)の出荷の急増によるものだったと同社では説明している。EFEMは、前面にFOUPを受け渡す機構を持ち、後段のプロセス装置にウェハの受け渡しを行う装置である。中国では、米国の対中半導体および製造装置輸出規制の強化により、自国のサプライチェーン(供給網)構築へ半導体製造や半導体製造装置向けの投資が強化されており、そうした流れに沿って売り上げを伸ばした模様である。

そのため、同四半期の国・地域別売上高を見ると、中国市場の売り上げが全体の46%を占める133億6400万円と、2位の米国(25%)を大きく上回っている。前年同期の中国市場向け売り上げは37億2100万円(全体の22%)ほどで、米国向けの27%よりも少なかった。中国市場向け売上高は2024年2月期第1四半期(2023年3月〜5月)以降、毎四半期ごとに伸びてきており、1年で3.6倍ほどの拡大したこととなる。前四半期(2023年12月~2024年2月)と比べると大きく成長したのは中国市場だけ(台湾が微増、それ以外の地域・国は減少)であり、同社における中国市場の存在感の強さが浮き彫りとなっている。

  • ローツェの2025年2月期第1四半期(2024年3〜5月)の国・地域別売上高

    ローツェの2025年2月期第1四半期(2024年3〜5月)の国・地域別売上高 (出所:ローツェ)

中国市場の好調さを受けて同社は2022年に上海市に地上2階建て、延べ床面積6600平方メートルの新工場を建設済み。同社はベトナムにも量産工場を有しており、半製品をベトナムから中国に輸送し、中国での顧客である現地の半導体製造装置メーカーごとの仕様に合わせる形で最終組み立てと調整を行って出荷している。

なお同社では、2025年2月期の通期業績見通しについて、中国のほか、米国および台湾向けが堅調としつつも、売上高を前年度比約30%増の1207億円、純利益を同17%増の229億円とする期初予想を据え置いている。

  • ローツェ上海工場の外観

    ローツェの中国・上海工場の外観 (出所:ローツェ)

2024年、中国では16の半導体工場が稼働予定

SEMIの調査では、2024年に世界中で35の半導体工場が稼働を開始するほか、28の半導体工場が建設を開始する予定だという。

この35の稼働予定の工場のうち、16が中国にあるとされるほか、5つの半導体工場が今年中に建設を開始することが予定されている。半導体工場の急増に伴い、中国内に工場を有する半導体メーカーからの製造装置に対する注文も増加しているという。それら各製造装置のウェハ受け入れ口には、パーティクル(ゴミ)の発生を抑制できる高性能なEFEMを設置する必要があり、そうした需要の高まりがローツェの成長の下支え要因となっていると言える。

  • 2024年の稼働開始が予定されている半導体工場の国・地域別内訳

    2024年の稼働開始が予定されている半導体工場の国・地域別内訳 (出所:SEMI/SEMICON KOREA 2024)