営業利益5兆円達成のトヨタ 豊田章男氏の報酬が約16億円

「認証不正問題の最中とは言え、世界でトップの自動車メーカーを経営する経営者としては少ない方ではないか」─。業界関係者からはこんな声が上がる。

 トヨタ自動車会長の豊田章男氏の役員報酬が歴代で過去最高の16億2200万円となった。今回の豊田氏の報酬額は18年度当時の日産自動車会長・カルロス・ゴーン氏の16億5200万円と並ぶ水準となる。

 なお、日産の19年3月期連結業績の営業利益は前期比45%減の3180億円。下方修正を余儀なくされた。一方、トヨタの24年3月期連結業績の営業利益は前期比96%増の5兆3529億円。空前の好決算だ。

 豊田氏の23年度の役員報酬は社長だった22年度から6億2300万円増え、トヨタの役員としては3年連続で過去最高額を更新。社長の佐藤恒治氏は6億2300万円だった。車の量産に必要な国の型式認証を巡る不正がグループ全体で発覚しているが、既に調査結果がまとまっているダイハツ工業や豊田自動織機の不正についてのマイナス評価は今回の報酬に反映済みだという。

 外資系自動車メーカーの関係者は「50億円くらいもらってもおかしくない」と話す。米国では電気自動車(EV)最大手のテスラの事例があるからだ。6月の株主総会では、CEOのイーロン・マスク氏への報酬が約8兆8000億円で承認された。

 ただ、足元では中国のEVメーカーとの価格競争やEV需要の伸びの鈍化を背景に、販売が伸び悩んでいる。それでも「マスク氏のオーナー経営者としての経営判断に対する投資家からの期待がある」(同)ようだ。

 一方で豊田氏は創業家出身ではあるがオーナーではない。数年前までは自身の役員報酬よりも外国人取締役の方が高かった。

 今年のトヨタの株主総会では豊田氏の取締役選任に対する賛成率は約72%と前回の約85%から下がった。さらに子会社の下請法違反が明るみになるなど、グループのガバナンスの徹底が大きな経営課題になる中で、豊田―佐藤体制の正念場が続くことになる。

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