【厚生労働省】「取組月間」で支援金倍増 マイナ保険証の普及に躍起

厚生労働省が、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の普及促進に躍起になっている。利用率が低迷しているためで、5~7月を「集中取組月間」と位置付け、医療機関や薬局の窓口で患者への積極的な呼び掛けを求めている。

 6月下旬にはマイナ保険証の利用人数を一定数以上増やした医療機関・薬局に1度限り配る支援金を当初の最大20万円から同40万円に倍増する方針も決定。ただ、一部の薬局ではマイナンバーカードを持たない患者に取得を強く勧める「副作用」も起きており、同省の担当者は頭を抱えている。

 政府は現行の健康保険証の新規発行を12月2日で停止し、マイナ保険証に一本化することを決めている。しかし、昨年発覚したマイナ保険証への別人データの誤登録問題などが影響して利用率は過去最高の5月時点でも7.73%にとどまる。そこで厚労省が苦肉の策として編み出したのがマイナ保険証の利用増に貢献した医療機関・薬局へ支援金を配るというものだ。

 金額は5~7月のマイナ保険証の利用増に応じて決まる仕組みで、最初に発表した4月時点では病院で最大20万円、診療所・薬局は同10万円だった。

 集中取組月間に入ってからマイナ保険証の利用率は伸び続けているものの、一部の薬局で患者に対し、「マイナ保険証がなければ受け付けはできません」「マイナンバーカードを作ってください」などと任意であるはずのマイナンバーカードに取得やマイナ保険証の利用を強制するかのような応対が報告されたという。

 厚労省幹部は「患者への呼び掛けはありがたいが、趣旨を正しく理解しておらず、想定外のトラブルだ」と困惑する。

 そんな中で厚労省は支援金倍増というカードを切ったわけだが、社会保障審議会では日本医師会の委員から「お金もうけのためにやっていると思われるのは極めて心外と、多くの医療機関は怒っている」と苦言を呈された。これには厚労省幹部も黙り込むしかなかった。

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