JR東日本グループは7月11日、同社が開発してきた社内向け生成AIチャットツールの全社展開や鉄道事業固有の情報を学習する「鉄道版生成 AI」の開発など、生成AIへの取り組みを発表した。
JR東日本グループ経営ビジョン「変革2027」において、これまの鉄道のインフラ技術や鉄道サービスのレベルアップといった起点から"ヒトが生活するうえでの「豊かさ」"へと価値の転換を基本方針に掲げる同社グループは、IT・Suicaサービス、生活サービス、輸送サービスを基盤とした上ですべての人の"心豊かな生活"を目標に据えている。これらを実現するために新しい技術を取り入れていくことを示しているが、注目される生成AIの内製開発においても成果を上げている。本社内組織Digital&Dataイノベーションセンター(DICe)では、生成AIシステム「JRE AI Chat」を内製し、2023年10月より一部試用を開始。DX推進に寄与することが確認されたため、今年の6月より全社員に展開。社内文書に基づいて回答を生成するRAG(Retrieval-Augmented Generation/検索拡張生成)を用いたプロトタイプも構築しており、こちらも2023年11月より試用を開始している。アジャイル開発で進められているプロジェクトは、社内の意見を継続的に取り入れており、こちらは今年の10月より全社での試使用を予定している。2023年11月に「JR 東日本グループ 生成 AI 利活用ガイドライン」を策定する同社グループは、2024年に第2版を発行するなど生成AIリスクを踏まえた活用を促進。開発内製化のためにコーディングにも生成AIを活用しており、鉄道事業固有の情報を学習する「鉄道版生成 AI」の開発にも取り組んでいることを明かしている。