【総務省】SNSのなりすまし対策 米メタなどに防止策を要請

総務省は、著名人の名前や画像を使って本人になりすましたSNS広告による詐欺被害急増を受け、米メタ(旧フェイスブック)など大手SNS事業者5社に防止策の実施を要請した。広告掲載前に行う審査基準の策定・公表や広告主の本人確認の徹底など、事前審査の強化が柱で、偽広告が掲載された場合は迅速に削除するよう求めた。

 松本剛明総務相は「なりすまされた人の権利を侵害する可能性もあり、深刻で重大な課題だ」と批判。総務省は現在、SNS上のなりすまし広告やニセ情報対策について議論する有識者会議で議論を進めており、法整備による義務化も視野に入れ、今夏をめどに報告書をとりまとめる方向だ。

 5社のうち、詐欺被害が特に多く確認されているメタには文書で通知。米グーグルとX(旧ツイッター)、「TikTok(ティックトック)」運営会社、LINEヤフーには業界団体を通じて要請した。

 有識者会議の議論では、SNS事業者に対し、広告の審査体制の整備と透明化を促すほか、海外事業者には日本語や日本の法律を理解する人材を十分配置するよう求める。広告審査に人工知能(AI)を活用する場合は、その有効性を示す情報を公表させる。掲載された詐欺広告については、捜査機関から提供されたアカウント情報に基づく迅速な削除など、利用規約を踏まえた適正な対応を要請する。法整備で規制対象にする事業者は、利用者数などを踏まえて決める。

 なりすまし広告を巡っては、自民党の検討チームが総務省に先立ち、SNS事業者に事前審査を厳格に行うよう求める提言をまとめている。これを受け、政府の犯罪対策閣僚会議が「国民を詐欺から守るための総合対策」を策定しており、大手SNSを所管する総務省が具体的な対応を急ぐ格好となった。

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