ソラコムは7月11日、松尾研究所と研究・推進するプロジェクト「IoT x GenAI Lab」が、三菱電機と共同で実証実験を行ったことを発表した。従来のAI活用に比べて学習プロセスをかけることなく、消費電力の削減や快適性の向上を実現したという。
実証実験の概要
今回のプロジェクトでは、IoT分野における生成AIや大規模言語モデル(LLM)の活用について、顧客ニーズに基づくユースケースの調査や概念実証(PoC)を行い、それをIoTサービスに反映させることを推進している。
部屋を最適な温度に保ちつつ、可能な限り電力消費量を削減することを目的に、センサーからの環境データとオフィス勤務者からのフィードバックをパラメーターとして収集し、追加学習の必要がない事前学習済みの汎用的な生成AIに入力。
空調機器の最適な温度を生成AIで2時間に一度予測し、生成AIが予測した最適温度へ変更し、快適性と電力使用量をモニタリング。オフィス環境が空調機器の設定温度を変えたことで動的に変化し、結果をまた生成AIに入力した。
その結果、従来のAI活用に比べて、強化学習や機械学習、ファインチューニング、RAGなどの学習プロセスや時間、コストをかけることなく、消費電力の削減や快適性の向上を実現したという。
電力消費量の削減では、ベースラインと比較して平均47.92%の削減効果あり、オフィス勤務者からの快適性フィードバックと生成AIが設定した温度を組み合わせて、平均26.36%の快適性改善効果が認められたとのことだ。
利用した生成AIエンジンとデータ可視化ツールは、Open AI - GPT-4/4V(gpt-4-1106-preview/gpt-4-1106-vision-preview)、Dataiku(ver.12.1)。
今後の展望
今後は、ユーザーの好みに合った空間へ誘導していくような、人に寄り添ったシステムの構築を目指すという。
今回の実験では電力使用量を大幅に削減できたため、今後は生成AIを大規模なデータセンターや工場などで活用し、大幅な電力使用量の削減に貢献できるかどうかを検証していくとしている。