金融庁の有識者会議が、不祥事が相次いだ損害保険業界に対して再発防止策を提言する報告書をまとめた。
中古車販売大手、ビッグモーターによる保険金の不正請求問題を巡っては、大規模な保険代理店である同社と、損害保険ジャパンを始めとする大手損保の〝癒着〟とも言える不適切な関係が露呈。このため、報告書は第三者が保険代理店の業務の品質を評価する仕組みを導入するとともに、代理店への処分権限を持つ自主規制機関を設立するように求めた。
さらに、不正行為の温床となったと指摘される企業代理店の問題にも言及。顧客企業のグループ会社ながら損保側から手数料をもらうことで経営が成り立っている不透明な関係を是正するように要求した。
企業代理店に関しては、保険料収入の50%以上が親会社など特定企業に偏ることを規制する「特定契約規制」が存在する。だが、保険自由化の際の激変緩和措置として、1996年以前に設立された代理店には猶予措置が取られてきた。今回はこの企業と損保のもたれ合いの構図にもメスを入れた格好。
批判の矛先は当局にも向けられた。実際、保険業界への監督体制は銀行や証券と比べて手薄で、かねてモニタリング体制強化の必要性が指摘されていた。
金融庁自身も行政の不備を突かれたわけだが、ある幹部は「今回こそ膿を出し切り、長年の問題を解決しなければ、損保に対する信頼回復は果たせない」と強調。不正体質や悪しき業界慣行の根絶に向けた強い覚悟を示している。