メタップスホールディングスは7月11日、有料職業紹介事業の許可を取得したことを発表した。これにより、フリーランスと企業のマッチングサービス「re:shine(リシャイン)」に登録するフリーランスを社員として採用できるようになったという。同社はこうした採用手法を「トランジション採用」と名付けており、新たな採用手法として推進するとしている。

  • トランジション採用のイメージ

    トランジション採用のイメージ

トランジション採用

トランジション(transition)は「移行」「過渡期」「変化」といった意味を表す。人事領域においては、キャリアの過程において企業内で期待される新たな役割への転換などの意味で使われるという。同社では、フリーランスとして働く人がライフステージの変化などをきっかけに人生やキャリアを見直し、社員として働くことを選ぶのもトランジションの一つだとして、トランジション採用と名付けたとのことだ。

フリーランス人材を正社員として採用することは、企業とフリーランスの双方にとって、採用手法や働き方の選択肢が広がるメリットがある。また、入社後のミスマッチが少なくなることも期待できる。企業にとっては、将来的な正社員雇用を視野に入れることができるため、フリーランス活用へのハードルの低下も考えられるという。

従来の正社員採用では、正社員としての雇用を希望する母集団から人材を確保するのが一般的だったが、トランジション採用においてはフリーランスとして活躍する人の中から、将来的に正社員となる可能性がある潜在層とつながることができ、高いスキルと経験を兼ね備えた層へアプローチ可能になるとのことだ。

これまでも、フリーランス業界においては、フリーランスからの正社員化は要望があった場合に都度対応されてきた。しかし、その際には「違約金」や「紹介手数料」として200~300万円が相場として支払われてきた。re:shineでは1人当たりの上限を120万円とし、さらに業務委託期間に発生した利用料(フリーランス請求額の5% / 月)を差し引く。

  • 支払う料金の例

    支払う料金の例

トランジション採用推進の背景

人材不足などを背景に、企業は近年さまざまな手段で人材確保を推進している。ITエンジニア業界の中でも需要が高いミドル層においては、アルムナイ採用(退職した元社員の採用)やリファラル採用(紹介による採用)が中心となっている。

そのため、一般的な転職市場にはミドル層があまり存在しておらず、これまでその穴を埋めていたのがフリーランスだ。そのため、エンジニアの正社員採用に苦戦する企業は、最初から正社員採用を希望する人だけでなく、フリーランスの人材活用も視野に入れることが重要となる。なお、re:shineにおいても、「フリーランスを正社員として採用したい」という要望がこれまでにも挙げられていたそうだ。