フォーバルが運営するフォーバルGDXリサーチ研究所は7月9日、中小企業の経営者実施した「中小企業の人的資本経営に関する実態調査」の結果を公表した。今回の第2弾では働きやすい環境の構築状況や人的資本経営に取り組むメリット、今必要な内容について掘り下げた調査を実施した。
育児休業や介護休業の取得事例について、「社内規定はあるが取得事例がない」が34.1%、「育児休業・介護休業の社内規程がない」が27.3%で、合わせて中小企業の61.4%が育休・介休ともに取得事例がないか、規定がないことがわかった。
時間や場所にとらわれない働き方ができる環境を提供しているか聞くと、「提供している」は29.4%、「提供していない」は47.1%であった。
多様な人材採用と活躍できる環境整備については、「多様な採用も活躍環境の整備も行っていない」が36.6%、「多様な採用は行っているが活躍環境の整備は行っていない」が14.3%で、合わせて50.9%の中小企業が活躍できる環境を整えていなかった。
コンプライアンス・倫理に関する研修機会を提供していない中小企業は72.4%にのぼった。また、コンプライアンス・倫理に関する自社の方針を従業員が確認できる場所に開示していない企業は、方針を作成していない企業(61.1%)と作成しているが開示していない企業(12.1%)を合わせて73.2%となり、多くの中小企業で従業員がこれらの方針を確認できていないことが明らかになりました。
差別や、ハラスメント禁止の徹底と従業員への教育を実施しているか質問すると、「どちらもしていない」(45.8%)、「やろうとはしているが、徹底はできていない」(28.5%)と、差別の禁止の徹底と教育を十分に取り組めていない企業が74.3%であった。
従業員名簿を作成しているか聞くと、「作成しており、9項目網羅している」(30.5%)、「作成しているが、9項目網羅していない」(42.3%)と、72.8%の中小企業で従業員名簿が作成されていた。
また、労働者の男女の賃金の差異について、その雇用する全ての労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者(パート・有期社員)の3区分において把握できているか尋ねると、「把握している」(48.5%)と半数近くが把握できていた。さらに、従業員の勤怠管理を行い記録された労働時間や残業時間を確認しているかという質問には、「勤怠管理を行っており、従業員個人の残業時間を確認している」が71.6%にのぼった。
人的資本経営を実施した結果、人材強化について効果を感じている中小企業は75.7%、競合優位性の構築については63.6%、売上の増加については63%であった。これまでの調査から、中小企業における人的資本経営の浸透はまだ遠い一方で、取り組んでいる企業では経営に関わる項目で効果を感じていた。
人的資本経営に取り組む際の課題については、「時間がかかる」(35.8%)、「費用がかかる」(27.5%)が上位となり、次点が「社内にできる人材がいない」、その他「分からない」「取り組み方が分からず手探り」「効果がわからない」などの意見も続いた。また、人的資本経営を進める上で、どのような支援が必要だと思うか尋ねると、「国や政府からの人的資本経営に向けた補助制度」が40.0%となり最も求められている結果となった。
なお、このレポートは、2023年12月11日~2024年2月8日の期間、全国の中小企業経営者を対象に実施したアンケート調査に基づく。