ロームの子会社でSiCウェハの製造会社である独SiCrystalは7月4日(欧州時間)、ドイツのニュルンベルグにある既存工場の近接地に、SiCウェハの生産能力拡大を目的とした新工場の起工式を行ったことを発表した。

新工場の生産エリアは約6000m2としており、2026年に完成予定。新工場の稼働後は、既存施設でのSiCウェハ生産も含め、同社全体のSiCウェハ生産能力は2027年に2024年比で3倍に増加する予定だという。同社では、この工場稼働に伴い、2027年までに100人以上を雇用する計画としている。

  • SiCrystalの新棟建設起工式の様子

    SiCrystalの新棟建設起工式の様子。背景のパネル画像が新棟の完成予想図、道路の手前側の建屋が既存工場 (出所:SiCrystal)

今回の投資は、電気自動車(EV)や充電ステーション、再生可能エネルギー、さまざまな産業分野において、電力変換効率のさらなる向上に向けてSiCの需要が高まることを見越してのもの。同社はSiCデバイスの垂直統合型生産体制確立を目指すロームに2009年に買収されて以降も、ロームのみならず他社にもSiCウェハの供給を継続している。例えば2024年4月には、STMicroelectronicsとの間に150mm SiCウェハの長期供給契約を締結しており、この取引額は2億3000万ドル以上だとされている。