台TrendForceによると、HBM生産量の増加と汎用サーバの需要回復に伴い、DRAMサプライヤ各社は値上げ姿勢を維持しており、2024年第3四半期のDRAM平均販売価格(ASP)は前四半期比8~13%ほどの上昇(HBMを除いた場合は同5~10%の上昇)と予測されるという。

また、第3四半期を見据えると、スマートフォン(スマホ)とCSPの在庫補充の余地はまだ残っており、生産のピークシーズンを間もなく迎えることもあり、スマホとサーバの両方がメモリの出荷数増を牽引すると予想されるという。

  • 2024年第2四半期のカテゴリ別DRAM価格上昇率(推定)と、第3四半期の上昇率予測

    2024年第2四半期のカテゴリ別DRAM価格上昇率(推定)と、第3四半期の上昇率予測 (出所:TrendForce)

サーバDRAM以外は小幅な上昇に

それぞれのカテゴリ別にみると、PC DRAMのASPは、汎用サーバの需要回復とHBMへの生産量シフトの影響から、PC DRAMそのものの在庫レベルは高く、かつ消費者側の需要の回復が鈍いものの同3~8%の上昇とTrendForceでは予測している。

一方のサーバDRAMについては、汎用サーバの季節的需要の恩恵もあり、DDR5の契約価格が8~13%の上昇すると予測している。DDR4については、バイヤー側の平均在庫レベルが高いこともあり、購入意欲はそこまで高くないことから同5~10%程度に留まり、両者を考慮したASPは同8~13%の上昇とTrendForceでは予測している。

モバイルDRAMについては、各スマートフォン(スマホ)ブランドメーカーが在庫量が十分にあることもあり、第3四半期の価格交渉を急いでおらず、交渉でも消極的な姿勢を見せている模様である。一方でサプライヤ側はさらなる利益の拡大と、2025年には需給バランスが引き締まるとの予測から契約価格の引き上げを意識しており、これらの関係性から第3四半期の価格上昇は限定的となり、同3~8%に留まると予測され、中でもLPDDR4(X)がもっとも低い上昇率にとどまりそうだという。

グラフィックスDRAMに関しては、第3四半期全体を通じて需要が比較的横ばいのままで、価格動向は主に他のDRAM製品の値動きに影響される状況にあるという。サプライヤ側は価格上昇サイクルに入り、その勢いは衰えていないため、バイヤー側は継続的な在庫戦略を採用することで、サプライヤ側の価格上昇に柔軟に対応している。また、新しいGPUが検証段階に入るにつれて、GDDR7の生産が徐々に増加しており、GDDR6と比べ20〜30%ほどのプレミアムがつけられていることから、第3四半期はこのGDDR7のサンプル出荷により、ASPがわずかに上昇すると予想され、グラフィックスDRAM全体のASPも同3〜8%ほど上昇すると予想している。

コンシューマDRAMについては、供給過剰が継続しているが、HBMへの生産シフトに伴う生産量の減少などもあり、3大サプライヤは値上げの動きを見せている。また、台湾勢も収益性が完全に回復できていないことから、価格に上昇圧力をかけており、結果として同3~8%ほどの上昇になるとTrendForceでは予測している。

なお、TrendForceでは、第4四半期に向けて、スマホやCSPによる在庫補充の動きとサプライヤ側のHBMへのシフトが価格上昇を継続させると見ており、今後、2025年のHBMへのさらなるシフトに伴う潜在的な不足を懸念して、バイヤー側が在庫レベルを引き上げる可能性があるとしている。