日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月4日、2024年度〜2026年度の日本製半導体製造装置および日本製FPD製造装置の販売高予測(2024年7月版)を発表した(ここで言う日本製とは、海外拠点含む日系企業の国内外の販売額合計を指す)。

日本製半導体製造装置は2024年度に4兆円を突破

それによると2024年度(2024年4月〜2025年3月)の日本製半導体製造装置販売高は、年度後半からのメモリ投資の本格的回復が期待されるほか、中国向けが引き続き堅調となることが予測される結果、前年度比15%増4兆2522億円と予測している。

半年前の2024年1月版の予測では、同27%増の4兆348億円としていたため、増加率では下方修正したように見えるが、金額ベースで2000億円以上も上方修正されている。背景には、前回予測では、2023年度販売高を同19%減の3兆1770億円としていたが、今回の集計された実測値では同5.9%減の3兆6976億円と下げ幅が低かった点が挙げられる。

  • 日本製半導体製造装置の年間販売額の推移と今後3年間の予測

    日本製半導体製造装置の年間販売額の推移と今後3年間の予測 (出所:SEAJ、2024年7月)

また2025年度はDRAMに続きNANDも投資が回復し、ロジック・ファウンドリの堅調な投資が続くことから同10%増の4兆6774億円と予測。2026年度もオンデバイスAI関連を中心に引き続き順調な伸びが期待されるため同10%増の5兆1452億円と予測しており、この3年間の年平均成長率(CAGR)は11.7%となる。

日本市場も堅調に推移

SEAJでは日本市場について、2024年度はメモリ市況の回復に加えて政府による補助金効果や、大手ファウンドリの順調な立ち上がりを追い風に、前年度比17%増の1兆3375億円と予想している。2025年も複数の大手ファウンドリの投資とメモリ向け投資の回復から同30%増の1兆7388億円と予測。2026年度も引き続き堅調な投資が見込まれ、同7%増の1兆8605億円と予測している。

  • 半導体製造装置の日本市場における年間販売額の推移と今後3年間の予測

    半導体製造装置の日本市場における年間販売額の推移と今後3年間の予測 (出所:SEAJ、2024年7月)

FPD製造装置も回復傾向

一方のFPD製造装置販売高についても、2024年度は韓国での有機EL(OLED)向けG8.6基板の投資が本格化し、タブレット(11/13型など)、 PC(14.2/16.2型など)を始めとしたIT製品への搭載も進むことが期待されることから、同30%増の3351億円と予測している。2025年度も韓国に続き、中国でのG8.6基板のOLEG投資が進むことが予測されることから同10%増の3686億円と予測。2026年度も韓国と中国のG8.6基板OLED投資が進む見込みだが、技術方式や時期に未確定部分があることから、同横ばいの3686億円としている。

かつてスマートフォンで、世界シェア1位と2位の企業が、ハイエンド品でLCDからOLEDへの切り替えを推進した結果、韓国および中国で多くのG6 OLED工場が建設されたことがある。ITパネルで同様のことが起きるかは未知数の部分もあるが、IT用のG8.6基板OLEDパネルが2024年度以降のFPD装置市場回復と、新たな成長を占う最大の要素となるとSEAJでは指摘している。

  • 日本製FPD製造装置年間販売額の推移と今後3年間の予測

    日本製FPD製造装置年間販売額の推移と今後3年間の予測 (出所:SEAJ、2024年7月)