米国商務省は7月1日(米国時間)、CHIPS and Science法(CHIPS法)に基づき、米Rogue Valley Microdevices(RVM)に最大670万ドルを支給すると発表した。

今回の資金提供は、米国フロリダ州パームベイにあるRVMのMEMSおよびセンサファウンドリ建設を支援するもので、この補助金を活用することにより、RVMの製造能力をほぼ3倍になる見込みだという。

RVMは、防衛産業基盤とバイオメディカル業界にとって重要な、多品種少量生産のMEMSファウンドリサービスに特化した、米国を拠点とする数少ない専業MEMSファウンドリの1社。今回の投資により、300mmウェハで製造された高信頼性MEMSデバイスの米国内での供給をサポートし、米国のサプライチェーンの回復力を強化するとともに、フロリダ州で75人以上の雇用を創出すると商務省は説明している。

CHIPS法に基づく直接投資は、クリーンルームの改修や製造装置の設置を含む施設の建設を支援するものであり、フロリダ州パームベイの新施設で生産される最初のウェハは2025年初頭にも出荷される予定だという。また、施設の最終的な完成は2025年半ばまでに完了する予定としているほか、この施設内に託児所が設立される予定で、地元の託児所プロバイダーと提携する形で、STEMベースの早期保育教育と放課後の学習サポートの提供も目指すとしている。

このほか、同社は適格資本支出の最大25%に相当すると見込まれる米財務省の投資税額控除も申請する予定としているほか、この施設建設のためにRVMでは、フロリダ州商務省からの融資500万ドルに加え、その他の州からの支援320万ドルなど、連邦政府以外からの支援を受けていることを明らかにしている。

米商務省の標準技術担当次官 兼 国立標準技術研究所所長のローリー・E・ロカシオ氏は、「米国を拠点とする数少ないMEMSファウンドリの1つとして、RVMは300mm MEMSファウンドリサービスを通じて米国の半導体エコシステムをサポートする立場にある。CHIPS法は、米国が引き続き技術的リーダーシップを発揮することを確実にする取り組みであり、フロリダにてRVMが建設を進める新施設は、その実現をサポートするものとなる」と述べている。

また、RVMの創設者兼CEOのジェシカ・ゴメス氏は、「RVMは、CHIPS法により支援された米国MEMSファウンドリ第1号として、自動車、バイオメディカル、産業など、堅牢なサプライチェーンが不可欠な市場に不可欠な小型インテリジェントセンサの生産を増やすことを予定にしている。新施設は、まもなく300mmでMEMSを提供する業界最先端のMEMSファウンドリとなる」と述べている。

なお、CHIPS法に基づく半導体および関連企業への補助金支給は、その上限もあることから、支給額が少額になってきており、数百社に及ぶといわれている大手・中堅半導体企業および関連企業に対する支援がどのようになるのか注目される。