下永田真人・オミカレ社長が語る「「婚活」で高まるリアルの価値、「出会い4.0」の創造へ」

当社は日本最大級の婚活イベント情報サイトを運営しています。新たな出会いを創造することで、個人のウェルビーイングの向上と婚姻率低下、少子化といった社会課題を解決することを目指しています。

 現在の事業環境で大きいのは、構造的な人口問題です。出生数が20年前に112万人だったものが、2023年には73万人にまで減少しています。

 また、同じくこの20年間で、20代から30代の結婚適齢期年齢の人たちが約3500万人いたものが、約820万人減少する事態になっています。

 東京都だと92%と減少が比較的抑えられていますが、地方などでは半減しているところもあります。

 このように半減している地域などでは若者同士の出会いの機会が失われています。昔であれば様々な出会いを経験する中で、いろいろなコミュニケーションを経て相手を選ぶことができていましたが、今は普通に過ごしていたら出会うことができないのが現実です。

 自分から行動するなど、出会いに対してアクティブになっていかないといけないということが、婚活など出会い領域における大きな構造変化です。

 出会いの変遷がある中で、次のフェーズに移ったのが、まさにコロナ後だと考えています。かつては仲人さんがいて、世話焼きの方がお見合いの話を持ってきてというような、少し受け身でも結婚相手が見つかったという時代がありました。これが「出会い1.0」です。

 その世代が多く子どもを生んだことで人口が増え、その時代には結婚を前提とした「ねるとんパーティ」や、その後の「街コン」などにつながっていきます。これが「出会い2.0」で、人口が多いからこそ、同じ場所に若者が集まり、いい相手を見つけることができたのです。

 それがコロナ前後には出会いにマッチングアプリなどの「デジタル」が入ってきました。これが「出会い3.0」です。マッチングアプリの登場で、デジタルを介して何百万人という相手が見えるようになりました。出会いの間口を広げることができた一方、昔に比べて出会ってからお互いを知るまでの時間や労力よりも、会う前に相手を絞り込む行為に難しさが生じています。

 そうすると外見や学歴、職業といったわかりやすい条件でフィルタリングをしていかないと選ぶことができませんから、一部に需給バランスが偏り、マッチングしにくい構造になってしまうかもしれません。

 今、求められているのはデジタルを活用しながらも、会ってから、その人の良さに気づく、お互いのことを知る工程をもっと深めていくことです。この出会いのリデザインが今後「出会い4.0」になっていくのではないかと思うのです。

 コロナ禍があったからこそ、改めて「会ってしっかり話したい」というリアルのニーズが出てきています。

 会うことによって、自分が想定していなかった相手の良さを知る、感情交換をするということを、我々のサービスでも重要視しています。

 イベントでは、同世代くらいの人たちが集まり、話すことでその人の価値観や考え方、他者への振る舞いや「らしさ」を目の当たりにすることで互いを知ることができ、関係が始まるのだと思います。

 ここに原点回帰することで、サービスの価値や重要性を高めることが、出会いの場を再設計する上で非常に重要なことだと考えています。