Protonは7月3日、エンドツーエンド(E2E)で暗号化されたコラボレーションドキュメントエディタ「Proton Docs」を発表した。オンラインストレージ「Proton Drive」への展開を同日から開始しており、数日以内に全ユーザーが利用可能となる見込みである。
2014年に設立されたProtonは、セキュリティとプライバシーを優先したクラウドサービスを提供している。E2E暗号化を使用した安全な電子メールサービス「Proton Mail」を皮切りに、VPN、オンラインストレージ、カレンダーなど、製品を拡充してきた。
オンラインストレージと連携する文書エディタは、マルチデバイスやマルチプラットフォームでのアクセスという利便性を提供する一方で、それらのサービスに提供したデータをユーザーが完全にコントールすることは困難になる。サービス提供者がプライバシー保護を主張していても、サービス規約が後に変更される可能性があり、将来AIのトレーニングに使われる恐れもある。Proton Driveのシニアプロダクトマネージャーであるアナント・ヴィジェイ氏は、「文書を作成する際、自分のアイデアは自分と、自分が選んだ共有者だけのものであってほしいと考えるものです。しかし、実際はそうではありません」と指摘し、「オンラインの生産性向上ツールは、使用条件として監視を受け入れることを要求することがあまりにも多い」と述べている。
E2E暗号化で保護されたProton Docsのドキュメントには、ユーザーおよびユーザーが共有を許可した人しかアクセスできない。暗号化の対象はドキュメントだけではなく、キー入力やカーソルの動きにも及ぶ。さらに、Protonユーザーのデータは、米国などよりも厳格なスイスのデータ保護法による保護を受ける。
共有機能では、ワンクリックで他のユーザーを招待できる。共同編集やコメント・返信など共同作業の変更はリアルタイムで反映され、全ての参加者が常に最新版にアクセスする状態になる。共同作業中にはビューカーソルとプレゼンスインジケータを通じて、誰が閲覧または編集しているかを確認できる。
インポート/エクスポート機能については、Proton Driveにアップロードした.docx形式のファイルを読み込むことができ、作成したドキュメントは.docx、.txt、.md、HTMLでの書き出しに対応している。
Proton Docsは文書編集に必要な基本機能を備えているが、今後さらなる機能追加と、デスクトップWeb以外のプラットフォームへの対応を予定している。PRマネージャーのウイル・ムーア氏は「Googleが備えるものは全てロードマップにある」と述べている。