ファンケルは、ビタミンとミネラルの摂取をサポートするサプリメント「マルチビタミン&ミネラル」のリニューアル版となる「マルチビタミン&ミネラル Base POWER」を6月18日より発売したことに併せ、同社のサプリメント開発の仕組みや安全性に関する説明会を開催した。

「マルチビタミン&ミネラル Base POWER」とは?

同社のサプリメントであるマルチビタミン&ミネラルは、炭水化物や脂質の多い食事で消費されやすいビタミンB群を補える栄養機能食品として、同社の基本栄養カテゴリーの売り上げの約2割を占めており、継続的に伸長しているとする。しかし、1日の摂取目安量が6粒としており、ユーザーからは量が多くて摂取するのが大変といった声があったことから、今回、1粒あたりの栄養素の量を増やすなどして1日の目安量を6粒から3粒に減らすことで、より継続して摂取しやすい製品へとリニューアルしたとのこと。また、1日あたりの目安量を減らした一方でリニューアル前の製品と比較して、炭水化物からのエネルギー産生を助けるビタミンB1を10倍量のほか、抗酸化作用のあるビタミンEを13倍量、亜鉛を3倍量強化するなどの製品設計に変更し、気になる食生活を考え抜いたサプリメントに仕上げたとしている。

  • 「マルチビタミン&ミネラル Base POWER」

    「マルチビタミン&ミネラル Base POWER」

ファンケルが築いてきたサプリメントの歴史

日本における健康食品の歴史は、1967年に全国健康食品協会が発足して以降、50年以上にわたっているが、その長い歴史の中で「サプリメント」という言葉を用いて、日本で初めて広告展開したのはファンケルとのこと。

また、現在ではサプリメントを入れる容器として通例となっているアルミ袋であるが、これをサプリメントの容器として日本で初めて使ったのもファンケルだという。アルミ袋は1994年の利用開始以降、改良が重ねられ、2013年には年間のゴミ削減量として9t相当である厚さ11%、重さ5%の軽量化を実現している。加えて、資材業者と共同で、封を切った際に自然に切り口に段差が付く仕組みを開発。切り口の角やパッケージの四隅も丸くカットし、指が触れても危なくないように工夫するなど、使いやすさの向上も目指してきたとする。

  • サプリメント向けアルミ袋の概要

    サプリメント向けアルミ袋に関する利便性向上と環境配慮に関する取り組み(出所:ファンケル)

このようにサプリメントそのものはもちろん、サプリメントを入れる容器にまでこだわりをみせるファンケルであるが、そうした健康食品や化粧品のすべての商品が神奈川県横浜市にあるファンケル総合研究所での研究開発を通じて生み出されたという。そのファンケル総合研究所内では、強固な品質・安全性保証体制を整備することで、人に対する安全を担保しているとのこと。今回、その取り組みの一部を見ることができた。

ファンケル独自の品質・安全性保証体制

ファンケルでは、研究開発における各プロセスにおいて独自の厳しい基準を設定し、品質・安全性を保証しているという。具体的にはまず、原材料などに関する8つの「安全性調査」を行った後、「原料使用審査」ならびに「安全性審査」が行われ、必要に応じ追加調査や、原料の製造工場を直接確認するなどの追加措置を行うこともあるという。これらの基準を満たし、開発部門責任者による承認が下りると、研究開発が進められる中で「原料管理部会」というその製品の開発に直接関わらない品質保証部門を中心とする第三者組織による客観的な審査が行われ、その審査を突破した製品のみが晴れて消費者のもとへ届く仕組みとなっている。

  • 品質・安全性保証の体制

    ファンケルの品質・安全性保証の体制 (出所:ファンケル)

そのうち、例えば原料使用審査では、使用される原料の品質を保証するために、さまざまな分析機器を用いて、原料や製品に含まれる成分の有効性を検査する「成分分析試験」や、原料や製品に鉛やヒ素などの有害重金属が含まれていないかの確認を行う「重金属分析試験」が行われる。

  • 試験をしている様子

    分析装置を用いて実際に測定を行っている様子

また、成分分析や異物検査も健康への影響という側面では重要な要素だが、サプリメントは人の口の中に入るものであるため、視覚や嗅覚、味覚などの人の感覚による検査も必要だとしており、人による官能検査も実施。官能検査に合格した製品しか発売できないという自社基準を設けているという。この官能検査は、同社が設定した認定試験を受けて合格した研究員のみ行うことができ、1年に1回更新試験が行われる。また検査そのものは、開発に関係しない部署の検査員が検査を行うこととされ、試験品が何なのかも開示されない状態で適切な照明のもと、味やにおいなどに影響がでない均質な環境が確保された専用の部屋にて行われるという。

  • 試験専用の部屋

    試験専用の部屋

今回は特別に官能検査を行うことのできる研究員になるための認定試験の一部を体験させてもらった。体験したのは「視覚」「嗅覚」「味覚」の検査で、視覚試験では模様の中に隠れている数字を当てる問題、嗅覚試験では香りが付いた試香紙を複数枚の中から2つ選ぶ問題、味覚試験では2種類の砂糖水の濃淡を感じ取り濃い方を選択するという内容の問題だった。

  • 味覚、嗅覚の試験

    味覚と嗅覚の試験

この3つの試験のうち、嗅覚試験と味覚試験は、特に加齢に伴う感覚器官の衰えが影響することもあるが、コーヒーやお酒を飲む量が多い人も感覚が鈍る傾向にあるという。筆者はコーヒーもお酒もあまり飲まないため全問正解することができたが、コーヒーやお酒を頻繫に飲むとする体験者の中には嗅覚試験と味覚試験が分からなかったと答える人も結構な数が見受けられた。

なお、同社ではサプリメントと薬の飲み合わせについてサプリメント相談室に問い合わせると、希望者へ「お薬手帳に貼付するシール」と「医療従事者向けの案内カード」を発行するサービスを2024年5月から本格稼働させており、問い合わせをした人の約8割がシール発行を希望しているとのことで、今後もこのような販売後のサポートも充実させていきたいとしている。