政府は、米アップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」にマイナンバーカード機能を来春に搭載すると発表した。岸田文雄首相が、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)とオンラインで会談して合意した。米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載した端末には昨年5月から導入されており、アイフォーンについても早期開始を目指していた。
マイナカードが手元になくても、アイフォーンを使って子育て支援などの行政手続きや、コンビニで住民票の写しの交付ができる。人口に対するマイナカードを保有する人の割合は今年4月末時点で73.7%。アイフォーンへの搭載で、政府はマイナカードの普及拡大につなげたい考えだ。
松本剛明総務相は、記者会見で「国民の皆さまにマイナンバーカードの利便性の向上、拡大のメリットを享受いただければ」と話した。
通常国会では、スマホに搭載できるマイナカードの機能を拡大し、より幅広い分野で使えるようにする改正法が成立。具体的には、氏名や住所、顔写真といったカード所有者の情報の搭載が可能になる。これにより、オンラインで銀行や証券会社の口座の開設が可能になるほか、酒やたばこを購入する際の年齢確認などの手続きがスマホで完結できるようになる。
改正法には、LGBTなど性的少数者への配慮から、2026年にも導入を目指す新たなマイナカードの券面から性別の表記を削除することも盛り込まれた。
政府はマイナカードを巡り、12月に現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化する予定。ただ、情報のひも付け誤りなどが相次いだことを受け、マイナ保険証の利用は低迷。4月時点でのマイナ保険証の利用率は6.56%にとどまる。
政府は5月~7月までを「マイナ保険証利用促進集中取組月間」として、周知活動を強化。利用人数が増加した医療機関や薬局に支援金を支給する事業なども展開している。