【国土交通省】日本航空がトラブル続発で再発防止策を提出

日本航空で安全上のトラブルが相次いでいる問題で、日航が国土交通省に再発防止策を提出した。原因について「現場が安全を大前提とし、立ち止まれる環境がつくれていない」と分析。経営トップが率先して安全に対する意識を再徹底するほか、安全管理システムを見直し、信頼回復を目指す。

 日航では昨年秋以降、重大事故につながりかねないトラブルが続いている。昨年11月に米シアトル空港での管制官の許可を得ないまま滑走路を横断したことに始まり、今年5月に羽田空港での日航機同士の主翼の接触事故を起こすまで、計5件のトラブルが発生した。

 相次ぐ事故を重く見た国交省は5月下旬、航空法に基づき、日航の事務所への臨時監査を実施した。その後、鳥取社長を国交省に呼び出し厳重注意。

 斉藤鉄夫国交相も、同月末の閣議後記者会見で、「安全上の事案が続いていることを重く受け止めている。航空の信頼回復を図るため、しっかり取り組んでいきたい」と話し、国交省としても安全の向上に向け、協力する考えを示した。

 さらなるトラブルを未然に防ぐため、日航は再発防止策として一連のトラブルを3つに分類。その上で、緊急、短期、中長期の3段階での対応方針を明記した。緊急対応では、6月末まで全社員が一連の問題を自分事として捉えるため、「一拍置こう、声をかけよう」をテーマに全社一丸となって安全の再確認、強化月間を実施する。

 また、4月に米ダラスで機長の過度な飲酒が原因で乗務予定だった便が欠航したトラブルを受け、当面の間、滞在先でのパイロットと客室乗務員(CA)の飲酒を禁止。さらに、安全管理システムの課題を洗い出し、体制・人員強化策などを盛り込んだ対応計画を9月末までに策定することも盛り込んだ。

 日航は、CA出身の鳥取三津子氏が今年4月に就任し、新たな経営体制がスタートしたばかりだ。

 苦境に陥ったコロナ禍からの需要が急回復する日航にとって、社員の安全意識の向上は待ったなしの課題。再発防止策を着実に実行し、再び社会や利用者の信頼を取り戻せるか。鳥取新社長の手腕が問われそうだ。

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