NTTデータ経営研究所と応用脳科学コンソーシアム(以下、CAN)は6月27日、香りに対する消費者の官能評価と人間特性の分析や予測が可能なAIモデルの活用を進める「香り×人間情報データベース研究会」を発足することを発表した。この研究会では、参加企業が共同で収集した香りに関するデータを既存のAIモデルに組み込み、新たなAIモデルの開発と社会実装を促す。
研究会発足の背景と取り組み内容
NTTデータ経営研究所は2019年~2024年、東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻生物化学研究室の東原和成教授を研究代表者として、科学技術振興機構の未来社会創造事業「香りの機能拡張によるヒューメインな社会の実現」プロジェクトに参加し、AIモデル「香り×人モデル」の構築に取り組んできた。
今回はこのAIモデルの社会実装を目指し、CANに研究会を発足。研究会では東原教授がアドバイザーとして就任し、セミオープン形式で参加企業が共同で香りに関するデータ収集からAIモデルの開発までを実施する。
これまでの研究成果から、「香り×人モデル」の予測精度はデータ数が増えるほど向上する傾向が明らかになっているという。そこで、研究会では参加企業を集めて共同でさまざまな香料を「香り×人モデル」に組み込むことで、新たなAIモデルを構築し、「香り×人モデル」に関連するデータベースの拡張とAIモデルの精緻化を図る。
香り×人モデル
香り×人モデルは、NTTデータ経営研究所が管理する人間情報データベースモニターを対象に実施した大規模調査を基に構築されているという。115種類の香料に関する107の官能評価項目と約900人を基にした138の人間特性評価項目(2024年6月時点)を利用しており、多次元データの関係性をインタラクティブなヒートマップで可視化可能。
24項目の香りに関する特性を表す記述子(例えば「甘い匂い」や「酸っぱい匂い」など)を使用してクラスタリングを行っているため、特定の香りに対する記述子のアンケート回答だけで、各評価項目が予測できるとのことだ。これにより、香りの官能評価と人の特性との関係性が即座に理解でき、データの関係性探索の効率化が図れ、消費者の特性や認知バイアスなどの把握も可能だという。