サイバーエージェントは6月26日、AIを活用し漫画などの海外展開に向けたローカライズを支援する専門組織「AIローカライズセンター」を新設したと発表した。インターネット広告の知見を生かし、漫画やアニメ、ゲームなどの海外展開における国や地域の文化や特性を考慮したデジタルマーケティングの戦略策定および実行支援を行う。加えて、多言語対応や文脈理解のAI研究を強化し、各配信国や地域に合わせたローカライズ支援に取り組んでいく方針だ。
世界から注目を集める漫画やアニメをはじめとした日本コンテンツの海外展開においては、徹底的なキャラクターや文脈の理解や、原作の一貫性を担保するためのルール制定、写植作業者(レタラー)による文字入れや作画修正、ネイティブによる翻訳チェックといった膨大な翻訳工程が必要だ。原作者の意図や原作の世界観を損なわずに、展開先であるその国の文化や特性も考慮してローカライズしていくことが重要だとサイバーエージェントは指摘する。
同社は2023年5月に独自の日本語LLM(大規模言語モデル)を一般公開した。これらの自然言語処理技術を応用し、擬音語や擬態語などのオノマトぺといった日本語作品ならではの特殊な表現や意味・文脈理解の研究を進めているという。作品の配信対象となる国や地域の文化・慣習、宗教や法律、表現規制を考慮した最適な表現方法と原作の一貫性を保つためのルール制定作業や翻訳業務などへのAI活用にも積極的だ。
新設したAIローカライズセンターを通じて、原作者だけでなく作品に携わる翻訳者や写植者、編集者などすべてのクリエイターの作業をサポートするAI技術の研究に支援していく考えだ。